東京オフィスマーケット予測
東京のオフィスマーケットについていくつかの機関が予測を公表しています。10月2日には、オフィス市場動向研究会(日本不動産経済研究所と三鬼商事株式会社の共同研究会)が、中期予測を発表しました。
また、ニッセイ基礎研究所は、少し古くなりますが、今年2月に「東京都心部Aクラスビルのオフィス市況見通し(2014年)-2014年~2020年のオフィス賃料・空室率」を公表しています。
ニッセイ基礎研究所は、東京都心Aクラスビルについて、空室率は2014年を底に2017年まで上昇、2017年をピークとし、以降2020年まで低下し現行水準を下回るレベルに達すると予想しています。賃料は、2割弱まで上昇するものの、2015年をピークとして2017年まで下落、2017年時点では2013年の水準をも下回るとしています。また、この2017年を底として賃料は2020年まで上昇を続けるが、2020年時点の賃料水準は2014年の水準を下回ると予想しています。ちなみに、同研究所が今でもこれと同じ見通しを持つのか、異なる見通しを持っているのかは確認しておりません。
一方、今月公表された、オフィス市場動向研究会の東京ビジネス地区(主要5区)のオフィスマーケットに関する予測(Aクラスビルではない)は、次のようになっています。
「2013年から賃料は上昇に反転し、2014年と2015年は5~7%の上昇が継続。空室率は2014年に6.1%、2015 年は5.2%まで低下。2016年は新規供給が50万坪と急増するが、市況が良いので影響は小さく、賃料の上昇幅は5%程度を維持。2017年以降は上昇継続も上昇幅は低下。空室率は4.8%前後で横ばい。2025年は空室率が 4.6%で、賃料は微増。」
また、CBREは、Japan Office MarketView 2014Q2の中で、東京グレードAオフィスビル(上記Aクラスビルよりも概ね大規模で新しいビル)の実質賃料(フリーレントを考慮し修正した実質的な賃料)について、2014年初めからの3年間で3割程度の上昇を予想しています。
まあ、それぞれ予測の対象とするビルが違うのですが、CBREは、最上級のビルのことを言っていますから、年10%程度の上昇は今となっては少し強気ではあるものの、さほどおかしくない水準と思います。ただ、実質賃料ベースで予測をするならば、実質賃料ベースの自社データをも是非公表してほしいものです。
ニッセイ基礎研究所も、2年間で2割弱の上昇ですから、これも同様に一定の合理的な範囲に収まっていると言えそうです。
オフィス市場動向研究会については、Aクラスビルではなく一定規模以上(主要5区内、基準階面積100坪以上)とはいえいわゆるオールグレードのオフィスビルを対象としているものと思われますが、その賃料上昇の平均が年間5-7%上昇というのは、中小規模のビルも対象となっていることを考えますと、達成が可能なのか少し疑問です。また、ニッセイ基礎研究所は、2020年までにサイクルが波打つ予想をしていますが、オフィス市場動向研究会については、ペースこそ緩慢になるものの、2025年まで、空室率は継続して低下傾向を続け、賃料は継続して上昇傾向を維持する予想となっています。
ズバリ結論から申しますと、ニッセイ基礎研究所の予想が、Aクラスビルとしての賃料上昇レベルや2020年までにピークを打つ年があるという点で、循環的である不動産マーケットの特性をよく捉えていると思います。
もちろん、ニッセイ基礎研究所の予想も、ピークやボトムに関し1年程度のラグは十分ありえましょうし、水準自体もブレることは大いにありましょうが、考え方として合理的です。
逆に、オールグレードのオフィスビルの空室率や賃料が、2020年まで平凡に同じトレンドを続けることは、まずないと言えるのではないかと思います。
私自身は、ニッセイ基礎研究所が予想するサイクル的な動きはあると思いますが、同研究所が予想するほどの上下動とはならず、マイルドな循環になるものと考えています。
なぜなら、世界経済、日本経済が当面緩やかに回復を続けるとしても、その足腰は弱く、リスク要因も多くセンチメントも弱いことから、賃料の上昇幅も限られ、逆にその分、下落幅も限られると予想するからです。
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