先進国のリートが高パフォーマンスだが?

ここ数年のREIT先進国のREITパフォーマンスをみると次のようになっています。

◇◇◇◇◇◇◇◇ 2012年     2013年 2014年(2月末まで)
日本        40.5%     41.2%    −0.1%
米国        18.0%       2.4%      9.4%
英国                   30.2%     18.6%     10.3%
豪州                   33.0%       7.3%       4.7%
フランス             35.6%       8.4%       3.2%
シンガポール        46.4%     −3.6%      1.9%

出所:国際投信投資顧問「リート・マーケット・マンスリー2014年3月号」より

このうち、米国だけは2009年から2013年まで5年連続でプラスを続け、かつ2014年も2月までではありますがプラスのパフォーマンスとなっています。英国も昨年に引き続き上位にランクインしています。
この背景には、空室率の低下と日本ではなかなか明確に観測されない賃料の大幅上昇があります。ジョーンズ・ラング・ラサールの資料によりますと、ニューヨーク(ミッドタウン)のオフィス賃料は直近1年間で15.9%上昇、ロンドン(ウエストエンド)は17.9%の上昇を示しています。2014年もそれぞれ5-10%の上昇が予想されています。

また、市場規模の関係から上表には含めていませんが、ドイツにおいては、ドイツ連銀が次のような趣旨のことを月報の中で指摘しています。
「主要都市の住宅価格が適正価格を平均で25%程度上回っており、その主な原因が、需要が高まる一方で供給が追い付かないことにある。住宅市場における需給の逼迫を和らげるためには、新たな賃貸契約に対して規制を設けることは逆効果であり、むしろ価格や賃料の面から住宅投資へ向けたインセンティブを刺激するべきである。」
つまり、需要が強すぎて供給が追い付かないのでもっと供給を促進する施策を打つべきだという提言です。

中央銀行が、レポート上とはいえ、適正価格を何%上回ると言うこと自体が珍しいことだと思います。私としては、仮に多少供給が促進されたとしても、かえってマネーの流入を進め価格の上昇につながるのではないかと考えます。

米国、英国、ドイツ、それぞれに今のところREIT(=不動産)のパフォーマンスは良好です。とは言え、その伸び率を見る限り、息切れしてきているようにも思います。まだまだ、成長余地があるという要素とそろそろ本当の息切れにならないかという懸念のせめぎ合いの中で、世界経済は地政学的リスクの高まりで脆くなっており、一つのイベントで一方向に大きく流れていくリスクを抱えているようです。

リーマンショックの反省や分析から、投資分散という概念は意味をなさなくなったという意見も出ておりますが、私はそうは思いません。例えばシンガポールが弱くなったら英国が出てきたとか、万一、一方向に大きく下げてもその後のリカバリーの状況が各国で異なるなどの、違いは必ず存在するからです。
ですので、現在のような局面では、トップ集団を走る先進国REITを組み入れ順ばりでその恩恵を享受しながら、調子の悪い国のREITも組み入れ主導役が変化する局面に備えるという分散戦術は大いに有効であると思います。

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