自宅マンション所有者の永住意識は20年前と比べ21%ポイント上昇
国土交通省が、4月23日に「平成25年度マンション総合調査結果報告書」を公表しました。この調査は、5年に1度、マンション管理組合へのアンケート調査を行うとともにその調査対象となったマンションの区分所有者数名にアンケート調査を行ってその結果を報告するものです。
その中で色々な調査結果が示されているのですが、ここでは、「永住意識」についてコメントします。これは、マンションの区分所有者がそのマンションに永住する意思を持っているかどうかという設問への回答となります。ここで、永住すると回答した人の割合を「永住意識比率」と言うこととします。
【永住意識比率の推移】
1980年度 21.7%
1987年度 31.1%
1993年度 31.0%
1999年度 39.0%
2003年度 43.7%
2008年度 49.9%
2013年度 52.4%(今回)
これを見ますと、「永住意識比率」は20年前から顕著な上昇トレンドを示しています。
これを私なりに解釈しますと、やはり「失われた20年」というものを見事に表しているのではないかと思います。
もちろん、グレードの高い永住に足りるマンションが増加しているということもありましょうが、それよりも、国民の住宅購入や住み替えに対する意識が大きく変わったということが大きいと考えます。
どういうことかと言いますと、以前には、一時取得がマンション、次にその値上がりを待って、更に立地の良い所に移るか戸建を購入するなどで住み替えていくというパターンが、家を購入する必要のある者にとっては黄金パターンであったと思われます。
その後、不動産価格が下落はすれどもまず上昇はしないという時代を経て、始めから最後まで賃貸で良しとする風潮も出てきました。また、値上がりで得た売却資金を次のより良い物件の購入資金に充当するという技も使いにくくなりました。
そうした流れの中で、一旦購入したマンションにそのまま最後まで住み続けるという意識を持った人が増加するというここ20年ほどの傾向が生じたのだと思います。もちろん、区分所有者の年齢が上昇しているので、相対的に永住思考のある人の割合が増えるということもあろうかと思いますが、それだけでは、上記のような大幅な「永住意識比率」の上昇は起こらないでしょう。
いすれにせよ、「失われた20年」というのは、不動産価格の低迷を通じて、こんな調査結果にも現れてくるのだなと、国土交通省の報告書を読んで思った次第です。
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