女性の社会進出と不動産

私は、今後10年で女性の社会進出が飛躍的に拡大するのではないかと思っています。理由は次の通りです。

1. 安倍政権が策定した成長戦略で、女性管理職・役員への登用拡大に向けた働けかけが明記された(2020年までに指導的な地位に女性が占める割合が30%になるよう期待・上場企業に女性役員を少なくとも一人置くべきなど)
2. キャロライン駐日米国大使が米上院公聴会で、特に重視したい取り組みとして女性の地位向上問題を挙げており方向性が合致する
3. 一方で、国際女性経営幹部協会によると、日本の女性役員比率は1.4%と他主要国に比べ格段に低い(ノルウェー40.5%、フランス21.9%、英国18.7%、米国16.6%などと比べ格段に低い)
4. 女性役員の多い企業は、パフォーマンスが良いという複数の研究結果がある

一方で上記3および4については反論も見られます。3については、ノルウェーで割当制の内容が公表されたとき対象企業の株価が大幅に下落し、その後数年間で企業価値の指標であるトービンのq(時価総額÷資本調達額)が、女性役員比率10%の増加に対し12.4%低下したこと、企業が制度の対象となるのを避けた結果、2009年の上場企業数は2001年の7割弱となる一方、割当制の要件を満たさない非上場企業の数は30%増えた、などの研究結果も存在するようです。
また、4については、企業のパフォーマンスが良いから女性役員比率を高める余裕があるのかもしれない、女性役員の多さ以外の要因がパフォーマンスと女性役員の多さに影響を与えているのかもしれないなどの批判があります。

とは言え、現在、優秀な女性が様々な社会的環境から働きたくとも働けない、あるいは男性に負けないよう本来不必要であるべき無理な働き振りを示さなければならないような状況が存在するのは事実であろうと思います。ですので、私は上記理由をポジティブに捉え、今後女性の社会的進出が劇的に増えることを期待感も込め予測しているのです。

このことが、不動産に与える影響はたくさんあると思います。例えば、オフィスビル内あるいはオフィス近郊に育児所が完備されているワークプレイスが注目されてくるでしょう。マンション等の住まいについても、そうした施設がマンション内に組み込まれている物件、すぐ近隣に育児所が存在するマンション、横浜市のように待機児童をゼロにすべく積極的な取り組みを行っているような自治体に所在するマンションなどは、その価値が相当増してくるものと思われます。

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