持ち家の値段は今後上がっていくのか?

日本経済新聞がマクロミルを通じて全国の20-60才代の男女1,030人にインターネットで聞いたサーベイによると、回答者の55%が、自宅の値段がこの先「値下がりする」と考えていることがわかりました。「値上がりする」は14%にとどまり、「変わらない」は31%となりました。「値下がりする」と答えた人の理由の上位には、「景気が良くならない」「人口減で需要が縮小」「給料や年金が減る」「交通不便な地域」があがりました。

先日発表された地価公示価格では、3大都市圏では上昇し、地方都市でも下落率が縮小しているという傾向がありましたが、多くの人が今後の自宅の値段については慎重にみているようです。

もっとも、上記のサーベイ結果で「値下がりする」が過半を占めた理由として、私は次のように考えます。
地価公示発表時のブログでも書きましたが、地価動向は、3大都市圏にある有力都市等とその他の都市、立地の良い物件とそうでない物件で二極化しているという事実がある中で、このサーベイでは、回答者が全国に分布していることから回答も二極化し、かつ値上がりしそうな地域自体が日本の中で少ないため、「値上がりする」が14%、「値下がりする」が55%という割合になったものと思います。つまり、値上がりしそうな地域の人が、先行きを慎重にみているというよりも、値上がりしそうな地域に住む回答者と値下がりしそうな地域に住む回答者の割合を概ね示しているだけではないかと考えます。

とは言え、多くのエコノミストが、人口が減少していく日本において、長期的には不動産の価格は下落するとみています。私もそう思います。もちろん、景気循環の中で、短期・中期の上昇局面自体はありますので、値上がり期待の投資家はこれを狙うことはできますが、あくまで長期的には下落トレンドになるはずです。

世界に目を向けますと、欧州の住宅市場、例えば英国・ドイツ・スイス・フランス等では住宅価格の高騰がみられます。この理由としては、単なる投機マネーの流入のほかに、移民政策や住宅購入支援政策等が密接に絡みあっていると言われています。日本と違い移民の流入により実需としての住宅価格が押し上げられているという側面があるということです。

日本は、今後、総人口のみならず労働人口もどんどん減っていくわけですから、このままですと、やはり不動産価格は長期的には下落します。これを底辺から下支えする手段としての移民政策は、先延ばしせず、国民的議論を経て即座に実行すべきと思います。もっとも、日本人の国民性からして難しそうですが。ちなみに、スイスでは、今年2月9日の国民投票にて、移民受け入れに上限を設ける案が50.3%と僅差で可決されたようです。諸外国の成功事例、失敗事例は、当然参考にすべきでしょう。

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