企業の不動産含み益がまた注目されてきたものの

昨年は、日経平均株価が年間57%の上げとなり、41年ぶりの上昇率を記録しました。概ねどの銘柄を持っていてもこの上昇の恩恵を受けることができた年でした。今年の株価も、アナリスト予想の平均では高値が18,000円程度とそれなりの上昇が見込まれているようです。昨年ほど円安が進まないであろうことや、業績に比べ株価は既にいい水準まで上がってきていることから、昨年に比べ株価の上昇幅はインパクトがある予想にはなっていません。そこで今年は、個別銘柄の業績によりフォーカスが当たり、上昇銘柄と下落銘柄が峻別されると言われています。

こうした中、巷では、企業が保有する不動産の含み益を囃し立てる論調がまた出てきています。ある企業がどこどこに不動産を持っていて、その含み益がこれだけあるから買いだ、というようなシナリオです。もちろん、皆がこのように考えて動けば、株価は上がるので短期的には上昇することがあるでしょうが、そもそもCRE(企業不動産)戦略的には、不動産の含み益を持っているのに、それが株価に反映されていないような企業は、経営失格です。つまり、企業が保有する資源が有効に活用されていないことを意味するからです。この含み益シナリオが真に活きてくるのは、その企業がM&Aで買収されるようなときでしょう。それを承知でこうした銘柄の株を買い、かつ売り時をきっちりフォローしていける人はいいですが、単に不動産の含み益が一杯あるから安心だね、という考えで買うのは非常にリスクが高いでしょう。

バブルの時期には、必ず株高を支持するシナリオ・理論が出てきて、パラダイムが変わったとか、修正PBR(時価ベースの株価純資産倍率)とか、IT企業だけに適用されるPERとか、色々な考え方が現れますが、あまり踊らされないように注意することが必要ですね。

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