J-REITは高値圏!

(このブログは、弊社メルマガで1月18日(日)に配信したものと同一内容です)

J-REITの価格について、このあたりで警鐘を鳴らしておきたいと思います。

1月16日の東証REIT指数は、1990.45となり、節目である2000に到達する直前まで迫りました。
特にここのところ、日本株が上げ下げを繰り返しているのと比べても、J-REITはほぼ一本調子で上がっている感がします。

1月16日時点では、平均分配金利回り2.89%、10年国債利回りとの差であるイールドスプレッドは2.65%となっています。
ちなみに、イールドスプレッドは、高ければ高いほど投資妙味があると言われています。
国債利回りが市場最低の0.24%まで低下してきていますので、イールドスプレッドは低下のスピードがまだ遅くて助かっている部分がありますが、実は、既に2013年4月以降のJ-REIT暴落局面の直前のスプレッドと同様の水準にあるのです。
当面、世界的な金利低下傾向を受け、日本国債の利回りも顕著な上昇を示す恐れは小さいとは思いますが、米国の利上げが大方の予想に沿って今年半ば以降から実施される場合は、少なくともジリジリは上がっていくと考えられます。

また、NAV(ネットアセットバリュー)倍率は、1月16日時点で、私の計算では1.70倍となりました。中長期の実績では、平均値は、概ね1.2倍から1.3倍の水準にあります。
NAV倍率の意味は、「株価の割安度を示す指標。株価÷1口あたりNAVで算出される。不動産の時価に注目した指標と言える。」とされています。
算式の中身のNAVの意味は、「バランスシートの含み損益を純資産に反映させ時価ベースで純資産額を算出するために利用する。J-REITの場合はNAV=純資産額-保有不動産簿価+保有不動産鑑定額で算出される場合が多い。」となっています。

まとめますと、NAV倍率は、J-REITの株価(投資口価格)が、一口あたりの時価ベースの純資産(つまり一口あたりの時価ベース解散価値)の何倍まで買われているかを示す指標と言えます。
一般に1倍を切っていると割安と言われます。もっとも、解散価値を下回るのは、なにがしかネガティブな理由があることも多いので、単純に割安だから買えばいいとは言えません。
これは、一般の株式へ投資する場合に、PBRが1を割っているから絶対買い得だとは言えないのと同じです。

但し、NAV倍率があまりにも高いと、割高だという判定はできます。
J-REITの場合は、保有する資産とその資産から生み出される収益が最も重要な意味を持ちますから、一般の株式(企業)と比べて、NAVが極端に高く放置されることはまずありません。

現在の、1.7倍という数値は、さきほどイールドスプレッドの箇所で言及した2013年4月以降の暴落局面の直前の水準をすでに0.1ポイント以上超えたばかりか、2007年の大暴落の直前(つまり、ミニバブル時のピーク)に迫るまでとなっています(ちなみに、その時は約1.8倍)。

要は、イールドスプレッドは既に低い水準にある上、NAV倍率はかなり高く一般的には非常に割高と言える水準にあるということです。
この水準を維持できる、つまり正当化できる、理由は見当たらないということです。

私は、東証REIT指数は、2000を超えるか超えない水準で、なにかしらちょっとしたイベントを受けて、かなり大きく調整する恐れが高まってきていると予想します。

先日、某大手証券会社系の運用会社のレポートで、予想分配金利回りマイナス10年国債利回りで求めるイールドスプレッドの大小ではなく、予想分配金利回りが10年国債利回りの何倍となっているかを時系列でチャート化し、まだまだ倍率が高い(つまり分配金利回りは低下しているが、国債利回りが超低水準にあるので、その倍率は高くなっており、ミニバブル時よりもまだ高い)ので、まだまだ大丈夫だという論法のものをみました。
私は、利回りを利回りで割って何の意味があるのか、この担当者はもう少し数学を勉強してほしいなと思ったとともに、このレポートをチェックした上司も、REITがまだまだどんどん売れればいいから、担当者がいいセオリーを見つけてきたなぐらいにしか思わなかったのか、と残念に思いました。
私独自のバブル判定基準には、「価格の高さを正当化するもっともらしい理論、理屈が出てくる」という項目があるのですが、上記レポートを読んで、とうとう出てきたかと思いました。
そうまでしないと、今の水準を伝統的な指標面からサポートするシナリオが出てこないということなんでしょうね。

 

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