ビル賃貸業の業況指数が、5年9ヶ月振りにマイナス水準を脱する!

土地総合研究所が5月23日に発表した「不動産業業況等調査結果(平成26年4月)」によりますと、「ビル賃貸業」の現在の経営状況を表す業況指数(最大が100、最小がマイナス100で、ゼロより上が良好、下が悪化を示す指数)は、前回3ヶ月前の調査から12ポイント上昇の0.0ポイントとなり、2008年10月以来続いていたマイナス水準を脱しました。この調査では、「住宅・宅地分譲業」「不動産流通業(住宅地)」と「ビル賃貸業」の3業種が調査対象となっていますが、同じ指数をみると、「住宅・宅地分譲業」は11.7 、「不動産流通業(住宅地)」は6.7といずれも5期連続でプラス水準を維持しています。

しかしながら、3ヶ月後の見通しについてみますと、「ビル賃貸業」がプラス8となった一方で、現況について5期にわたりプラスを維持してきた「住宅・宅地分譲業」はマイナス8.3 、「不動産流通業」はマイナス3.7と、後者の2業種はマイナスに転じる見通しとなっています。

これを解釈しますと、「ビル賃貸業」は、稼働の改善に加えて賃料の上昇が見られ、これが景況感の大幅な改善につながったものと考えられます。現に、「ビル賃貸業」の成約賃料動向指数は、4.3ポイントを示し、5年9ヶ月振りにプラスに転じています。
一方で、分譲、流通の各業種に関しては、不動産価格の上昇や駆け込み需要の反動で、買い手側の様子見などが出てきていることから、業況感の悪化が見込まれているのではないでしょうか。

この調査は、全国調査でかつ標本数が非常に少ないことから、指数を厳密に捉えて判断することは意味が乏しいかもしれませんが、少なくともトレンドを押さえるには役立つものと思います。

ところで、東証REIT指数の一段の価格上昇には、賃料上昇の明確な動きが見られることが必要とアナリスト達は言っていますが、既にこのような調査でもその動きは確認できます。また、一部とは言え少なくない範囲で、実際にはもっと前から賃料の値上げは実施されており、それらは報道や仲介会社等が発表する各種データにも表れていますから、既に東証REIT指数はそれを折り込んでいなくてはならないはずです。では、何故、アナリスト達は既に発生している賃料上昇を、より明確な動きが見られてからなどと留保条件をつけるのでしょうか?

一つには、不動産マーケットの最前線をよく把握できていないということがあるのかもしれません。
その他の理由でかつより強い理由として、次のようなことも考えられます。アナリストが価格の上昇を予想する場合、根拠となる材料を提示しないといけません。つまり、上昇するための何かきっかけを示さないといけないのです。その材料としては、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がもっとREITを買うようになるとか、日銀の追加緩和が見込まれるなどがありますが、やはり不動産のファンダメンタルズについて何も言わないというのはまずいということがあります。そこで、既に上がっていて価格にもそれなりに反映されているはずの賃料上昇について、それが明確になったらという、二度賞味するような材料を持ってこざるを得ないということが大きいのではないかと考えます。

ただ、多くのアナリストがそう言っていると、個人投資家達はその方向で動くということはありえますので、賃料の上昇データがあちこちで見られかけたら、微妙に上昇するということはあるでしょうが、ファンダメンタルズが変わったわけではないことには注意が必要です。

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