東京Aクラスオフィスビルの中期予測をニッセイ基礎研が発表

ニッセイ基礎研究所が、2月5日、東京都心部Aクラスビルのオフィス市況見通しを「不動産投資レポート」上で発表しました。このレポートでは、2020年までの中期見通しも公表しています。

同レポートによると、東京Aクラスビルの賃料は、2014年後半から2015年半ばにかけてピークの高原状態で推移するが、2015年Q4からは早くも下落する見通しとなっています。そして2017年まで下落を続け、以降は再び上昇に転じるものの、見通しの最終年である2020年には、2014年、2015年のピーク賃料水準を大きく下回るという予想結果を示しています。

昨今の景気回復によるオフィス需要増はあるものの、消費増税でその勢いがそがれること、空室面積が高水準であり需給の逼迫感に欠けること、本格的な人口減少時代に突入しており人口要因面からオフィス需要は制約を受けることなどが、上記の理由としてあげられています。

私も、同研究所の分析には、方向感として賛同できるところが大きいと考えています。
しかしながら、2013年Q4から当面のピークの2015年Q3まで約20%も賃料が上昇するという見通しは出来過ぎではないかと思います。上位の個別のビルではこれを超える上昇も多々ありましょうが、平均でこれだけの上昇を示すということは、企業のオフィス賃料の上昇許容度の乏しさと需給の逼迫感が高くなりにくいという面で、疑問に感じます。

ただ、上昇が3〜4年も続くという予測や、30%以上も上昇すると予想している企業や予測機関などに比べれば、まだ合理的であると思っています。また、巷では、オフィス賃料のはっきりした上昇が見えてくるまでは、J-REITやオフィス投資マーケットはまだ弱いという論調もみられますが、ニッセイ基礎研の見通しによれば、そんなことを言っている間に、上昇・好調局面は1年天下ですぐに終わり、逆に下落局面に転じるという恐ろしい世界が待っています。

 

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