目立ち始めた不動産価格踊り場論

不動産価格が、現時点で既に踊り場に差し掛かっているのではないかという議論が一部に出てきました。
11月に入って、大手金融機関系のシンクタンクから、2本の「踊り場」レポートが同時期に発表されました。
これらのシンクタンクは、不動産マーケット分野では定評のある機関ですので、無視できない内容かと思います。

一つは、三井住友トラスト基礎研究所によるもので、国土交通省「不動産取引価格情報」の土地取引事例をもとに取引実勢ベースの地価変動率を推計した結果によるものです。
同研究所によると、東京23区の2014年上半期の地価変動率について、住宅地は前年同期比+5.6%と上昇しましたが、商業地では同-3.0%と下落を示しているのです。
同研究所では、商業地やプライム住宅地(=港区・渋谷区の住宅地)では、実勢地価の上昇が踊り場を迎えた可能性があるとしています。
但し、現時点で調整局面入りしたと判断するのは、事例の少なさや企業の土地投資計画の堅調さから時期尚早であるともコメントしています。
調整リスクの材料として、消費増税後の経済活動の反動減、消費マインドの低下、家賃負担能力の高い欧米系外国人の減少傾向などが見られるため、先行きの地価動向を注視すべきだそうです。
(出所:三井住友トラスト研究所「商業地やプライム住宅地で地価上昇が踊り場を迎えた可能性」2014年11月5日より筆者抜粋要約)

他の一つは、都市未来総合研究所(みずほグループ)によるもので、東京に限らず、住宅実需が牽引して早期に地価が上昇した地域では地価上昇が鈍化しているとしています(三河地域、川崎・横浜郊外部など)。
また、今般の不動産価格上昇は、賃貸収益の上昇よりもキャップレートの低下による要因が大きいとした上で、今後の不動産価格上昇要因について分析し、結局は賃貸収益の増加が鍵を握ると結論づけています。
最終的に、賃貸収益増加のためには、テナントである企業が賃料上昇を受け入れる事情や金銭的余裕が必要であり、より広く企業収益が改善しなければ賃貸収益改善の素地とはならず、景気に踊り場感が生じている現状は、すなわち不動産市況にとっても踊り場である、と締めくくっています。
(出所:都市未来総合研究所 SPECIAL REPORT「不動産価格は上昇持続か失速か」2014年11月より筆者抜粋要約)

いずれも、今すぐ地価、不動産価格が下落するというより、上昇率が鈍化していく傾向を言っているように思われます。
三井住友トラスト基礎研究所のレポートを見る限り、直近のサイクルでは、上昇率がピークを打ってから、概ね3半期後くらいにマイナスに転じていますから、2014年上半期が上昇率のピークとすれば、2015年下半期にマイナスに転じる(つまり価格が下落に転じる)可能性があるということです。商業地など、先行的な動きをするタイプでは、1半期は早めに到来する可能性もあります。

私が最近唱えている「2015年不動産価格ピーク到来説」と軌を一にします。

個人投資家も企業も、処分予定の不動産については、売り時を考えるいい時期なのでしょう。

 

★弊社不動産投資セミナー『ケーススタディで極める不動産投資のコツ – その物件、大丈夫?』2014.12.06開催- の内容確認、お申し込みは下記URLより!
⇒ http://kokucheese.com/event/index/225069/

★メルマガ(月1〜2回程度発行、無料)のお申し込みは、ページ右横にある「無料メルマガを申し込みます」欄からどうぞ!

Follow me!