人口動態・GDPと不動産価格
今、ちょっと毛色の変わった本を読んでいます。タイトルは、「人口から読み解く国家の興亡ー2020年の米欧中印露と日本」です。著者は主に米国の専門家集団のようです。
全てが人口動態で決まる訳ではないが、歴史的にそして現在でも、世の中の大きな動きを決める重要な要素は人口動態であり、上記各国の今後の見通しを人口動態の影響力の分析を中心に記述した書籍です。
日本についての記述で驚いたのは、日本の自衛隊は、今後、マンパワーが絶対的に足りず、そして予算制約の面からも、現在担っている機能すら維持できないと予想されていることです。既に弊害は現在でも現れているとのこと。今後日本は、ますます世界のパワーポリティクスの中でそのプレゼンスを失っていくらしいです。帰結としては、世界平和を求めつつもほとんど影響力のない軟弱国家に甘んじるか、あるいは可能性としては少なかろうと記載されていますが、禁断の核兵器を保有してマンパワー不足を補うというものです。言われてみれば、後者もありそうですよね。
人口動態で思い出したのが、不動産の価格は、GDPや人口動態には全く相関しないように主張する不動産関係の専門家の書籍です。特定の短期せいぜい中期の期間を取り上げて、この期間に人口は減少したが不動産価格は上がっていると主張するものがその典型です。そういう動きが短期・中期であることは当たり前です。GDP、特に人口動態を持ち出す場合は、かなり長い視点でみないといけないのは自明の理です。そうした視点で見ると、人口動態は上記書籍「人口から読み解く国家の興亡」が主張するように、不動産価格にも非常に大きな影響力を持っていると言えます(詳細は別の機会にでも)。今後、世の中に出ているバイアスのかかった説や意見でおかしいと思ったものには私なりの意見を言っていきたいと思います。