毎月分配型投信の分配金の安全性の見分け方
最近、お問い合わせの多い投信に関する質問に、「毎月分配型の投信等には、実際に上がった収益以上の分配金を継続的に支払う、いわゆるたこ足配当のようなものがあり危険だと聞きましたが、その見分け方はありますか?」というものがあります。
投信の分配金について一般的な説明からいたしますと、分配金には、「普通分配金」と「元本払戻金(以前は「特別分配金」と言っていましたが、名前がその性質を表しておらずミスリードするという議論から最近では「元本払戻金」と称すことになっているようです)」の二つがあります。課税される分配金を「普通分配金」、課税されない分配金を「元本払戻金」と呼んでいます。俗に言えば、「普通分配金」は儲かったので課税される、「元本払戻金」は儲かったわけではないので課税されないということです。
課税されるかどうかは、決算日の基準価額が「個別元本」(投資家それぞれに算出される平均取得価額)を上回るか下回るかで判断されます。「個別元本」は投資家ごとに異なるため、課税されるかどうかは投資家ごとに異なります。
基準価額が「個別元本」を下回って「元本払戻金」が支払われる場合を、巷ではたこ足配当のようなものと捉え、これが継続的に行われていると安全性がない場合があるとされています。
もっとも、上場企業がその期の配当を決める場合に、赤字だからと言って必ず無配当にするわけではありませんし、これは投信についても同様です。つまり、各投信の配当政策によりアグレシッブに配当を行う戦略と、保守的に配当を行う戦略があって、当然なのです。ただし、上場企業にせよ投信にせよ、収益があがっていないのに、継続的に配当を出し続けることには大きな問題があります。
その見分け方には、絶対的なものはないと言えますが、ここでは目安となる考え方をご紹介しましょう。
一つは、よく言われる、証券会社から送付される分配金等の報告書で確認するというものです。この報告書に、各個別投資家への分配金が、「普通分配金」なのか「元本払戻金」なのかが明示されています。これが継続的に「元本払戻金」になっているならば、たこ足配当型と言えるでしょう。但し、上述の通り、これは、同じ期の配当でも個々の投資家ごとに異なる場合があります。
でも、この報告書は、あくまで投資済みの人がもらえるので、これから投資しようとする人には利用できませんね?
そこで、購入前に確認する方法をご披露しましょう。但し、これも絶対的な基準はありません。
考え方を二つ記します。
一つは、分配金は、安定的な収益、つまり債券であればクーポン(利息)、株式であれば配当により賄われるべきという考え方です。これをインカム・リターン基準とでも名付けましょう。もう一つは、利息や配当に加え、資産の値上がり益も含めて総合収益で賄えればいいじゃないかという考え方です。これをトータル・リターン基準とでも名付けましょう。
例として、直近1年の状況を見る場合について説明します(本来は同様の手法で複数年でみた方がいいでしょう)。
とにかく、投信が発行している月次の運用レポートをチェックしましょう。
まずは、月次の配当金額が載っていますので、この1年分の金額を算出しましょう。そして、これを投信の基準価額で割れば、配当利回りの実績が出ます。これを「配当利回り実績」と呼んでおきましょう。
次に、債券型投信であれば、ポートフォリオの「平均直利(直接利回り)」をチェックしましょう。株式型の投信であればポートフォリオの「平均配当利回り」をチェックしましょう。
これらの利回りを「配当利回り実績」と比べ、大きく「配当利回り実績」の方が上回っていたら、安定性に欠けると判断できるでしょう。これは、インカム・リターン基準で考えた場合です。
次に、トータル・リターン基準で考えましょう。同様に、月次の運用レポートをチェックします。ここに、期間収益率ないしは基準価額の騰落率などという表現で収益率が掲載されています。毎月分配型の場合、基準価額の騰落率等は分配金を再投資した場合(実際は再投資していないが)のバーチャルな率が載っていることが多いと思いますのでこれをトータル・リターン(総合収益率)とみなして良いと思います。このトータル・リターンと「配当利回り実績」を比べるのです。例えば、株式投信で、仮に配当利回りを上回って分配金が支払われていても、株価が上昇しているのでトータル・リターンの範囲内で分配金が支払われているならそれでいいじゃないかという考えです。
どちらの考え方もありだと思いますが、上記で言う「インカム・リターン基準」をベースにして捉えつつ、「キャピタル・リターン基準」で、行き過ぎをチェックするというやり方が、バランスが取れているように思います。
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