賃貸住宅を建てて相続時の土地の評価額を下げる

賃貸住宅を建てれば相続時の土地の評価額が下がるという話をお聞きになったことがあると思います。ここでは、単純でわかりやすい例を用いて説明してみます。

まずは、土地の相続税の評価額ですが、国税庁の路線価図(Webでアクセス可能)で概ね確認することができます。路線価図で、自分が所有する土地の前面道路についている1㎡当たりの路線価をまずは確認してみましょう。仮に、100万円/㎡だったとしましょう。所有する土地の面積が200㎡ですと、更地としての評価額は、100万円/㎡×200㎡=2億円となります(単純な例なので、標準的な面積で、土地の形が整った傾斜もない奇麗な形の土地とします)。

次に、この土地に賃貸マンションを建てて人に貸すとします。この場合、この土地(貸家建付地といいます)の評価額は、次の算式で算出されます(全室賃貸の場合です)。
貸家建付地の評価額 = 自用地の評価額 × (1 ー 借地権割合 × 借家権割合)

ここで、借地権割合というのは、国税庁の路線価図に記載されています。また借家権割合は、原則全国一律30%です。仮に対象地の借地権割合が70%となっていたとして、上記にあてはめると、2億円 × (1 – 0.7 × 0.3) = 1億5,800万円となりますね。これで、評価額を21%引き下げることができました。ここまでは、土地の広さ(面積)にかかわらず、適用できます。

次に、「小規模宅地等の特例」という制度がありまして、「貸付事業用宅地」となる場合に、200㎡までの部分の評価額は更に、50%減額されます。上記例では、土地の面積は200㎡としていますので、全面積に適用されます。つまり、1億5,800万円が、その半分の7,900万円まで小さくなります。更地としての評価額2億円からは60.5%引きとなりましたね。

ここまでは、貸家の建物については、あえて触れていませんでしたが、貸家の相続税評価額は、家屋の固定資産税評価額 × (1 ー 借家権割合)で計算されます。そして、固定資産税評価額は、実際の建築工事費でなく総務大臣の定める固定資産評価基準に基づいて定まります。ザックリと水準を言えば、良い物件であれば家屋の実際の費用現価の70%程度で評価されることが多いので、実際かかった費用の50%程度(=1 × 0.7 × (1 ー 0.3))の相続税評価額となります。一方で、借入は建物にかかった費用の満額ですので、建物とその借入に関してだけいえば、相続税評価額はネットでマイナスになります。

このように、更地のまま相続を受けるより、賃貸マンションを建てて収益物件化して相続を受ける方が、相続税評価上の評価額が大幅に下がり、結果として、納税すべき相続税額も減少します。

親が土地持ちで相続可能性がある方は、一度ご検討されたほうがよいですね。
ただし、ハウスメーカー等の提案にそのままホイホイ乗ると、収益物件のつもりが全然収益を産まなくなったとか、相続対策をしてかえって資金繰りが苦しくなったなどの事例も多く見られますので、特に借入を伴う場合は、第三者の意見を求めるなどで慎重にご判断されることをお勧めします。

注)上記は、あくまで単純化した例で詳細の適用条件等については記述していませんので、実際のご検討にあたっては、必ず税務の専門家にご確認ください。

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