マンセッションと給与増

「マンセッション」という言葉をご存知でしょうか?
男性(man)と不況(recession)の組み合わせ語で、日本語だと「男性不況」などの訳語があるようです。男性の失業率が女性のそれを上回っており、これが拡大する世界的な傾向を表した用語です。

背景には、従業員の多くを男性が占める建設業や製造業の雇用者が減り、代わって、サービス業(女性が多い)の雇用者が増えていることが挙げられます。日本においても、明確にその傾向が存在します。平成14年と平成24年を比べて雇用者数の増減を示した内閣府の資料によれば、全産業(男女計)での雇用者増加は、173万人となっています。うち、男性は数十万人の減少ですので、この10年間に雇用者が増えた要因は専ら女性の増加ということになります。業種別にみると、建設・製造業(男女計)では何と224万人の減少、一方、医療・福祉(男女計)で236万人の増加、その他サービス業(男女計)で88万人の増加となっています。
経済の高度化に伴い第3次産業が成長しますので、ある程度以上の発展段階を迎えた国では、この傾向が現れるようです。

日本においては、雇用者が増加した上記のような業種の給与水準は、その他業種と比べて低く、また正規社員が少ないのが現実です。統計としての日本の平均給与が低下している原因は、個別の水準が下がっていることに加え、この雇用者の業種分布の変化の影響が大きいのです。アベノミクスが目標の一つとする賃上げは、大企業製造業のベアアップのみにとどまらず、上記のような業種にも波及しないと全体の底上げにはつながりにくいと思います。

もっとも、私としては、あえて企業が無理をして恒久的なコストアップにつながるベアの引き上げを行わずとも、ボーナスできっちり吐き出し、従業員のあげた当該期の成果に十分に応えていくということで良いのではないかと思っております。

 

 

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