騒音トラブルの判例紹介

マンションやアパートで、住人同士や近隣住民との騒音トラブルが発生しますと、大家さんは自分が騒音源でないからといって知らんぷりはできません。
騒音トラブルは、近隣環境紛争において最も苦情件数の多いものとされておりますので、大家さんにとっては避けて通れない問題と言えましょう。

ここでは、一つ、裁判例から具体的な事案をご紹介します。
事実関係は概ね次の通りです。

1. マンションの隣の戸建に住むAは長年にわたり小型犬の繁殖を行ってきた。
2. 犬が一斉に鳴くことがあった。
3. マンション住民Yから騒音の苦情を受け、Aは窓を二重窓にするなどの防音工事を施しある程度改善した。
4. しかしながら、工事後も犬が一斉に鳴くことはあり、その場合の騒音は60デシベルを超えた。但し、一斉に鳴く時間は限られていた。
5. 当該地域は商業地域で元々他の生活騒音はあった。

マンション住人Yは、騒音は受忍限度を超えているとして、マンションの家主Xに対し、損害賠償ないし賃料減額を申し入れました。

これは、東京地裁の平成23年の判例の内容なのですが、判決は上記事情を認定した上で、犬の鳴き声の騒音は受忍限度を超えないとしました。大家さんが勝ったのです。

ただ、これはいつも大家さんが勝てるというわけではなく、次のような判断基準を総合して判定されます。
1. 騒音の程度
2. 騒音による不利益の程度
3. 騒音発生とその継続の経緯
4. 実施された騒音防止措置 など

いずれにせよ、大家さんは、例えば上の事例であれば、Aに苦情を伝えて対応を依頼するなど、苦情を申し出たYと協議しつつできる範囲で対応を行う必要があります。
一定の対応をしたものの苦情が収まらない場合は、以降どこまで対応を行うべきか難しい問題が発生しますが、この段階になると弁護士等の専門家に相談すべきでしょう。

上のケースでは、トラブルの発生源は隣人でしたが、同じマンションの住人同士のトラブルになりますと、大家さんはもっと積極的に関わる必要があります。
なぜなら、大家さんは、本当に問題であるならばその住人との賃貸借契約を解除し退去させる権利を持っているからです。

騒音の問題ですから、大きな要素は何と言っても騒音の程度ですよね。プロの大家さんであるならば、こうした問題が発生したら騒音計で計測し記録を残しておくくらいのことはしておきたいものです。
騒音計は、市役所等で貸してくれたり、レンタル業者もありますので、是非ご活用ください。

 

★弊社不動産投資セミナー『低リスクの正攻法不動産投資で私的年金を準備する方法』-2014.10.03開催 – の内容確認、お申し込みは下記URLより!
⇒ http://kokucheese.com/event/index/203064/

★メルマガ(月1〜2回程度発行、無料)のお申し込みは、ページ右横にある「無料メルマガを申し込みます」欄からどうぞ!

Follow me!