金融庁のファンド規制は問題なのか? – その2

(前回ブログからの続き)

これに対し、小規模独立系のベンチャーキャピタル(以下、VC)の有志が、対案付きでこの規制に反対するパブリックコメント(以下、パブコメ)を提出しています。そこでは、まだまだ米国と比べ、VC投資の市場規模が圧倒的に小さく、特にエンジェル(創業間もない企業に資金を提供する主に個人の投資家をいう)による投資は、米国(2兆円超)の200分の1以下と見られる中で、ただでさえ少ない日本のエンジェルの活動が規制されると日本の成長戦略の大きな足かせになるとの主張がなされています。そうした中での独立系VCの必要性を主張しているようです。そして、対案として1億円基準は外した上で、投資判断能力を有する者として、過去にファンド運営の経験を持つ個人、上場企業の役員と大株主、公認会計士や弁護士などの士業資格者らを追加すべきだと訴えています。パブコメは、既に6月12日に締め切られています。施行予定期日は8月1日ですので、金融庁がどう対応するか、パブコメ提出者等の関係者は固唾を飲んで見守ることになるでしょう。但し、金融庁は、本件に関する事前評価書において、既に独立系VCが主張するデメリットは把握済みで、その上で影響は限定的と判断しています。

私自身は、なぜ1億円の基準が求められるのかもそうですが、逆に、対案で追加されている投資家の類型が合理的なのかも判断しにくいなと感じております。なぜなら、パブコメの記載を読んでも、独立系VCの必要性、資産制限の問題性、対案などに関する論拠が定量的かつ明確には示されていないからです。

ちなみに、パブコメ記載の数字を取れば、日本のエンジェルの投資規模は100億円超に過ぎないということであり、今回の規制云々よりも、そもそもなぜこれだけ少ないかの方が本質的に問題なのではないかと私は考えます。

注)本ブログは、専門家による時事ネタコラムのサイト「JIJICO」に6月16日に掲載された寄稿記事のオリジナル原稿です。
ご参考:「JIJICO」該当記事URL- http://jijico.mbp-japan.com/2014/06/16/articles10373.html


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