相続税改正(2015.01.01施行)で相続人にはどんな影響が?
相続税の改正により、2015年1月1日以降に相続により取得する財産に係る相続税が変わります。これは、お金持ちのみならず一般庶民にも影響が及ぶものとしてメディアにもしばしば取り上げられていますので、ご存知の方も多いと思いますが、ポイントは次の3つです。
1. 基礎控除額が引き下げられます(相続人にとって不利)
2. 税率が一部引き上げられます(相続人にとって不利)
3. 評価額が8割減額される小規模宅地等の特例の適用面積が拡大されます(相続人にとって有利)
まず、基礎控除については、法定相続人が配偶者と子供2人の3人と仮定した場合、改正前の基礎控除額は8,000万円(5,000万円+法定相続人数×1,000万円)であったものが、改正後は4,800万円(3,000万円+法定相続人×600万円)と大幅に下がります。つまり、以前は8,000万円まで相続税がかからなかったものが、今後は4,800万円を超えると相続税がかかってしまいます。親がそこそこの家と多少の金融資産を持っていたら、該当してしまいますね。
次に、税率ですが、各法定相続人の取得金額(基礎控除額控除後のものですが)の水準によって、一部の階層で税率が5%引き上げられます。具体的には各人取得金額「2億円超3億円以下」の階層と「6億円超」の階層が、それぞれ5%税率がアップし、45%、55%となります。ちなみに、その他の階層では変更はありません。これにより、相続税の最高税率は50%から55%となりました。
最後に、これは相続人にとってプラスですが、評価額が8割も減額される小規模宅地等の特例が受けられる土地の面積が、240㎡から330㎡に拡大されます。ただし、この特例が適用されるには、相続人が被相続人と継続して同居しているなどの要件があります。
一度、皆さんも相続が想定される財産で、課税がいかほどになるか試算されてみてはいかがでしょうか? ある調査では、東京23区内では4人に1人が課税対象となるとのシミュレーション結果もあるそうです。
課税価格を抑えるには、今のうち親と同居し小規模宅地等の特例を受けられる要件を満たしておくとか、戸建を売って同じ金額でもより課税価格が小さくなるマンションを購入するとか、相続時精算課税(特別控除額2,500万円)や暦年課税(基礎控除額毎年110万円)を有効に活用する、貸家にするなどの多くの対応策が考えられます。