国富 – 政府部門は2年連続債務超過

国民経済計算によると、土地などの資産から負債を引いた国全体の正味資産(国富)は、2012年末に3,000兆円となりました。前年比+0.04%とわずかに増え、5年ぶりの国富増となりました。うち、家計部門は2,233兆円と6年ぶりに増加(前年比1.9%増)に転じましたが、政府部門はマイナス39兆円と2年連続の債務超過になりました。基準は異なるものの、バブル期末の1990年末には3,500兆円強のプラスであったことから、政府部門では約20年でそれ以上の富が失われたことになります。

似ているようでちょっと違った話ですが、家計の金融資産は高齢化による貯蓄の取り崩しからその残高は減少が見込まれており、一方で、政府債務残高はまだ増加を続ける見込みです。2025年頃には政府債務残高が家計の金融資産残高を上回ると予想されており、財政赤字のファイナンスは、2020年〜2025年頃には外国投資家に頼ることになるという識者もいます。

政府債務のGDP比率が既に200%を超えるような異常な値になっていても、財政危機は起こらない、急激なインフレは起こらないと主張している人たちの根拠は、専ら、国内には豊富な民間部門の金融資産があるということと、国債のほとんどは日本人が買っているということです。しかしながら、国債の外国人保有比率はまだ低いながらも既に上昇トレンドにありますし、上記の予想が当たれば、外国投資家にマーケットを翻弄される可能性が非常に高まってきます。

最近、足元と短期の日本経済に関し、明るい未来となるような材料をこのブログで提供していますが、長期では、日本はかなり重苦しいものを持っているという認識はしておく必要があると思っています。

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