中央銀行頼みの脆い世界経済
2014年の世界経済に関するエコノミスト等の見通しは、米国ならばFRBの金融緩和縮小(テーパリング)の行方、ユーロ圏であればECB(欧州中央銀行)の次の打つ手、日本ならば日銀の追加金融緩和次第というコメントに集約されると思います。最近の株や為替、金利の動きを見ても、米国の経済指標、特に雇用関連データやFRB議長・理事のコメントに一喜一憂し動いているのが実情です(いつの時代もそうと言えばそうなのですが)。
近年好調であった新興国は、その政治体制、大衆あるいは既得権益者迎合的な経済施策、米国金融緩和縮小見通し・開始決定による資金逆流などから、一時期の勢いがなくなり、最近では、世界経済の推進役は新興国から先進国へ代わってきています。債券などの安全資産から株式(不動産も)などのリスク資産へのグレート・ローテーションと合わせ、昨年と今年のトレンドと言えましょう。
では、なぜこのようなトレンドが出てきたのでしょうか? 主要地域の中央銀行が、金融緩和で資金をジャブジャブに供給していることがその大きな要因と言えると思います。ただ、ECBはジャブジャブという表現とは異なり、救済が必要であった南欧国債の無制限買い入れを決定することやユーロ圏の銀行同盟制度の導入などでユーロ危機に対応してきた経緯があります。FRBと日銀は、文字通りジャブジャブな資金供給ということでいいのではないでしょうか?
つまり、言いたいことは、中央銀行の大胆な金融政策がなければ世界経済は一気に崩れることになるということです。そして、各国政府も民間セクターも、あまりにも中央銀行に期待、負担をかけすぎているというのが私の意見です。中央銀行によるこれら施策は、民間セクターや政治が変わるための時間の猶予にすぎないので、早期にやるべきことをやり、回復することが重要でしょう。まあ、それが難しいのですが。
中央銀行の総資産のGDPに対する比率について東短リサーチの加藤社長が述べておられますが、FRBは2014年末で約26%となる見込み(テーパリングが進んだとして)、ECBは2013年末で約24%ということです。これに対し、日銀は、2014年末で約58%となることが予想されています。現段階での各中央銀行の政策スタンスからして、2014年は、FRBは緩和縮小、ECBは緩和の余地を探る、日銀は追加緩和の余地を探る、というところかと思います。こうしたスタンスの違いを考慮に入れれば、あるいは入れなくても、日銀の総資産レベルが突出していることは明らかです。2014年のどこかで、日銀=日本政府への外国投資家の信任が大きく崩れないことを祈りましょう。