森ビル「オフィスニーズに関する調査」から裏読みする

森ビルが12月に公表した「2013年東京23区オフィスニーズに関する調査」レポートから、あえて私が裏読みしたことを書いてみます。同レポートは、森ビルが東京23区に本社が所在する資本金上位1万社を対象に今年10月から11月にかけてアンケート調査し、2,100社を超える企業から回答を得た結果を示しています。

まず、森ビルのまとめは次のようになっています。
「新規賃借意向は堅調に推移しており、新規賃借の理由で「業容・人員の拡大」が5年ぶりの1位に、「立地の良いビルに移りたい」が2位となった。一方、「賃料の安いビルに移りたい」が2年連続で順位を落とし4位に下がった。また、新規賃借面積の「拡大予定」が2年連続で増加し、「縮小予定」が2年連続で減少するなど、オフィス移転の理由が前向きのトレンドに転じている。」

要は、景況感の回復によりオフィス移転に関してポジティブな要素が増えてきたということなのですが、ここでは過年度の同調査との比較などから私なりの裏読みをしてみました。

裏読み内容

  1. 「新規賃借予定あり」が前年比3ポイントも低下し20%となったことから、必ずしも拡大志向の移転が今後実際に実施され拡大移転件数が顕著に増加するかは微妙。
  2. 「耐震性の優れたビルに移りたい」が前年比8ポイントも低下し32%となっており、最近また東京オリンピック開催を受けて湾岸ブームが起こっていることと考え合わせると、日本人の喉元過ぎればの特性が現れてきている。
  3. 新規賃借予定企業の希望エリアで、「丸の内」「赤坂」が凋落、「日本橋」が躍進傾向にある。「丸の内」は高額賃料と実際の利便性との比較でその人気を落としつつあるのかもしれない。「日本橋」は近年オフィスワーカー以外の訪問者数も増え、街作りや利便性が評価されてきている可能性がある。隣接する「八重洲」エリアの長期的な開発見込みもプラスに寄与しているであろう。「赤坂」は新規開発物件も少なく都心に立地する割には交通利便性はさほど高くないことから人気が陰ってきている可能性がある。2年前から5ポイント低下しており下落幅は最大である。

以上です。もちろん、内部情報の確認が困難なため、上記に関しても実際は色々な解釈ができると思いますが、ご参考になれば幸いです。

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