平成27年地価公示から占う今後の不動産価格推移のシナリオ(東京)

昨日3月18日に、国土交通省から平成27年の地価公示が発表されました。
新聞・TV等で全般的な説明がなされていますので、ここでは、この地価公示の結果からいくつか重要ポイントのみを取り上げ、今後の不動産価格がどのように推移していくか、そのシナリオを考えてみたいと思います。

・今回地価公示の重要ポイント

まず、今回の地価公示の重要ポイントを私なりにまとめてみました。

「住宅地の全国平均変動率がマイナス0.4%(下落幅が縮小)、商業地が0.0%(7年ぶりの下げ止まり)になったと言うが、変動率がプラスになっている都道府県は一部にすぎず勝ち組と負け組の差が顕著である。
勝ち組の中でも、東京圏・東京都は最大級の上昇率を示すが、この平均数字を押し上げているのは、主要5区プラス品川区の超都心区部である。

ちなみに、上昇しているエリアを分類すれば、大きく次の4つに分かれる。

★昔ながらに地ぐらい(ブランド力)の高い地域
★東京オリンピック関連を含めインフラ(交通、周辺施設)が整備されつつある(された)地域
★新駅開業・大型開発が行われる(行われた)地域
★外国人訪問客が多く多額のお金を落とす地域

銀座などは、概ね上記の全てを満たす人気エリアと言えよう。
逆に、上記のいずれにもあてはまらない場合は、上昇しても低い上昇率にとどまっている。

なお、東京圏に関し、ミニバブル時の上昇2年目の平均上昇率に比べ、今回の上昇2年目(今年)の上昇率は低位にとどまる。」

(このポイントの根拠となるデータ・事実は、下段を参照願います)

・今後の不動産価格の動向(東京)は?

次に、ここから、今後の不動産価格の動向(東京)を考えてみます。

<標準シナリオ>
全般的には、ミニバブル時と比べた時の価格上昇率の低さ、上昇のモメンタムの小ささ、上昇する地域範囲の狭さを勘案し、かつ今後2年程度は日本経済が1%台後半での実質成長を遂げると考えた場合、平均的に言えば、今後、野放図に不動産価格が上昇していく可能性は低いと思われます。
つまり緩やかな上昇が継続するということです。

もっとも、上記の上昇エリア分類に該当するエリアは人気が継続しますので、これらのエリアの不動産価格は、平均とは異なり引き続き相応の強い上昇が見込まれます。
一方で、消費再増税あるいは短期の景気循環などで経済が足踏みないし後退した場合でも、不動産価格が直ちに大きく下落する可能性も少ないと考えます。

<楽観+悲観シナリオ>
上記を標準シナリオとしますと、別のシナリオは、大きく不動産価格が上昇するケースです。
まず、世界的な超低金利、中央銀行による量的・質的緩和の継続(米国利上げの軟着陸含む)、高い収益性を求める世界の投資家によるリスク資産への投資継続がベースになります。
加えて日本独自の理由として、円安による外国人投資家の日本資産選好、外国人訪日客の大幅増に伴う外国富裕層による日本不動産購買ニーズの更なる高まりなどが十分想定されます。
また、国内富裕層による相続税増税対策としての優良不動産の購入が今後もなされるでしょう。
これに一種の外部要因として株価の大幅上昇が伴えば、不動産価格のバブル的上昇もありえます。

つまり、世界の運用環境と円安、外国人投資家や富裕層が先導するマーケットとなる場合です。
これに並行して国内投資家も追随するでしょう。
但し、この場合も、さすがに地域的な広がりはあまり見られず、二極化の中でのエリア、物件選別は相応になされるものと予想します。

そして、このシナリオでは、上記の世界的な運用環境等が崩れた場合は、不動産価格が大きく下落することが予想されます。
そのため、このシナリオは楽観シナリオと呼ばず、「楽観+悲観シナリオ」と名付けました。
このシナリオで難しいのは、一旦上がった価格が下落するタイミングを予想すること、見極めることで、この見誤りが投資の失敗につながります。

・これまでの予想と比較して

以上ですが、これまでの私の予想と比べ変化した点を強いて言えば、今回の地価公示の結果はまずまず予想通りとして、それ以外の要因つまり「楽観+悲観シナリオ」であげた諸条件が成立する可能性が高まってきたということでしょうか。
結果、標準シナリオ40%、楽観+悲観シナリオ30%、その中間が30%のイメージで予想しています。

また、不動産価格のピーク時期は、プロのプレーヤーが投資対象とする不動産とセミプロ的な個人投資家等が投資対象とする不動産、一般個人が購入対象とする不動産で、そのピーク時期はズレる(後者になるほど後ずれしやすい)点を追記しておきます。
例えば、2015年不動産価格ピーク到来説は、プロのうちでも感度の高いプロの扱う物件やそうしたプレーヤー自体の投資行動を指して予想したものと考えていただいたほうが良さそうです。

<上記重要ポイントをサポートする地価公示データ>

・ 東京圏の住宅地の対前年平均変動率は+0.5%と前年の+0.7%から上昇率が鈍化、同商業地は+2.0%と前年の+1.7%から拡大。

・ 東京都区部に限ると、住宅地の対前年変動率は+1.9%と前年の+1.8%から上昇率が僅かながら拡大、商業地は+3.4%と前年の+2.7%から拡大。

・ 東京都の市区町村における対前年上昇率上位は、住宅地で中央区(+6.4%)、千代田区(+6.3%)、港区(+6.0%)、品川区(+4.3%)、新宿区(+3.2%)。商業地で中央区(+7.2%)、千代田区(+5.7%)、港区(+5.6%)、渋谷区(+4.6%)、品川区(+4.3%)。中央区の住宅地を除いてすべて前年の上昇率を上回っている。

・ 住宅地の個別地点で東京圏上昇率トップ10に入った東京都の地点は、順に「港区南麻布4丁目」「港区赤坂1丁目」「中央区佃3丁目」「港区赤坂6丁目」「中央区勝どき3丁目」の6地点。(変動率は+8.0%〜11.2%)

・ 商業地の個別地点で東京圏上昇率トップ10に入った東京都の地点は、銀座の2丁目から7丁目までの8ポイントと「港区高輪2丁目」「新宿区新宿3丁目」。(変動率は+10.4%〜+14.2%)

・ 住宅地の対前年変動率がプラスの都道府県は、「宮城県」「福島県」「埼玉県」「千葉県」「東京都」「神奈川県」「愛知県」「福岡県」の8県のみ。(全国平均マイナス0.4%)

・ 商業地の対前年変動率がプラスの都道府県は、住宅地の上記各都県に「滋賀県」「京都府」「大阪府」を加えた11県のみ。(全国平均0.0%)

・ ミニバブル時の東京圏の住宅地の対前年平均変動率は、平成19年(2007年)+3.6%、平成20年(2008年)+5.5%。商業地の平均変動率は、平成18年(2006年)+1.0%、平成19年(2007年)+9.4%、平成20年(2008年)+12.2%。いずれも、上昇2年目には、5%、9%を超える上昇率を示した。今次は、いずれも上昇2年目となったが、住宅地は0%台、商業地は2%にとどまっている。

 

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