不動産マーケットサイクルの現在地
下記ブログは、2025年6月18日 当社メールマガジンにて発信したものです。
投資家が判断する不動産価格の現在地と半年後 − 上昇中?それとも下落してる?
掲題に関し、日本不動産研究所の「不動産投資家調査」のアンケート項目である、不動産価格のマーケットサイクル上の現在の位置を単純化して、グラフで表してみました(図1)。
縦軸の数字は、東京大手町のAクラスビルの価格のマーケットサイクルの位置を示すのですが、この数字のそれぞれの意味は、図2のポジション表をご覧ください。この数字は、ポジション表において、例えば、①が価格の底、③が回復継続中、⑤がピーク、⑦が減退継続中を示していて、全部で8つのステージがあります。


「不動産投資家調査」は、日本不動産研究所が、半年毎にアセット・マネージャー、デベロッパー、レンダー、機関投資家などのプロの投資家(150社程度)にアンケートをとり、その結果をまとめたもので、マーケットサイクルに関しては、現在どの位置にいるか、半年後にどの位置にいると予測するかを聞き、回答者は、それぞれ判断したポジションを答えるというものです。
図1では、ポジションを表すそれぞれの数字に、回答者の人数をかけて全て加算し、その総和を回答者総数で割って平均の数字を出しています。 単純に言いますと、数字の⑤が「ピーク」ですので、5を上回ると価格はピークを過ぎて下落中、5を下回ると上昇中(ただし①は「底」で動きなし)ということになります。 なお、線が2本あるのは、ブルーがその時々の現時点の状況の判断、オレンジが半年前に予測した半年後の時点の状況の判断(予測)となります。いずれも同じ時点の状況の判断を示すように時点を揃えています。 以上を把握いただいたうえで、改めて図1をご覧ください。
実は、2024年4月までは数字が5を超えていますので、プロの投資家は、平均的には不動産価格はピークを少し過ぎてやや下落気味という現状認識を、ここ5年以上ずっとしてきたと言えます。 また、半年後の予測についても、概ね、その半年後に行った現状認識の判断を大きく上回る数字となっておりますので、プロ投資家はたった半年後の予測にもかかわらず、実態に比べかなり悲観的な予測を続けてきたと言えます。 もちろん、この間にはコロナ禍がありましたので、悲観的になるのもやむを得ない時期もあったかと思います。ただし、それがずっと継続していることからわかるように、これはその時期に限った話ではなく、日本の投資家のずっと過去からの特徴である悲観思考の現れであると思っても良いかもしれません。
そういうこともありますが、このグラフで特に強調したいのは、2024年10月から現状判断が5を下回ってきたことです。つまり、平均的にはまだピークではなく、上昇中という判断に変わったということです。かつ、予測と実績との乖離が縮小し、今年の10月時点の状態の予測でも5を下回っているのが特徴です。
これは、何を表しているのでしょうか? 不動産価格が、更に強気のマーケット局面に移行してきたということでしょうか? 恐らく、東京都心部のオフィス需要の強さを改めて実感し、評価しだしたからだとは思いますが、プロの投資家といっても、わりと現状維持や現状後追いの思考のプレーヤーが多いことに加え、トランプ関税やイスラエルとイランの戦争状態など、不安要素が多くなってきているだけに、今後が気になるところです。
また、大半のプレーヤーの現状認識が現実に追いついてきたと思われる時には、実は、実際の世の中は次のステージに進んでいるということもよく起こりがちですので、現状及び今後こそ、逆に5を上回っている(=価格はすでにピークを過ぎて下落中である)というのが正解かもしれません。 みなさんは、今後の不動産価格(とりあえず、東京都心部にしておきましょう)についてどのように予想されますか?
こうしたマーケットの解釈、予測などについて、意見交換をしたいがために設けたのが、当HPのフォーラムです。 フォーラムの会員登録(無料)は、下記よりお願いいたします。登録項目は数個だけですので簡単です。 また、この機会に、合わせて当社メルマガの購読(=登録)もいかがでしょうか。こちらも完全無料制です。ご検討ください。