長生き時代の年金の賢いもらい方

■年金のもらいかた

65才の男性の平均余命は約19年、女性は約24年です。
つまり、平均的には65才の男性は84才まで、女性は89才まで生きるということです。
会社員であれば、定年退職後おおよそ四半世紀近い長期間にわたり、生き抜くための生活費が必要になるといえるのです。
これを賄う大きな財源は、公的年金(一般に、老齢基礎年金、老齢厚生年金)、退職金、退職時までの貯蓄ということになりましょう。

これらの財源の中で、公的年金については、そのもらい方に3通りあるのをご存知でしょうか?
一つは、「本来受給」で65才から標準額を生涯受給する方法、他の一つは、「繰上げ受給」で65才よりも前の時点から受給を開始し生涯受給する方法、最後に、「繰下げ受給」で65才よりも後の時点で受給を開始し生涯受給する方法の3つとなります。
繰り上げする場合も繰り下げする場合も、受給開始年齢によって、65才から「本来受給」する場合の標準年金額から調整がなされます。具体的な調整率は次の通りです。

受給開始年齢  65才開始標準額からの年金増減率
60才       ▲30% (60才より前には受給できない)
61才       ▲24%
62才       ▲18%
63才       ▲12%
64才       ▲ 6%
65才        −
66才       + 8.4%
67才       +16.8%
68才       +25.2%
69才       +33.6%
70才       +42.0% (70才以降でもこの水準で打ち止め)
注)実際には1ヶ月単位で増減します

 

■どれを選べば得をするか?

当たり前のことですが、受給開始年齢が65才より早ければ早いほど、年金額は減少します。
逆に遅ければ遅いほど年金額が増加します。
すると、ここで悩みが発生します。どれを選べばいいのだろう?と。

年金を受給しだしてからも働くのかどうか、働くとして給与はいくらなのかなどによって実質の受給額は変わってきますが、ここでは、そうした要因を考慮せず単純化して試算します(生活費で費消することを前提に、受取額の複利効果も無視します)。
各受給開始年齢毎に、65才開始で標準額を受給する場合よりも受取総額が大きくなる(=得をする)年齢を次に示します。

受給開始年齢  65才開始とするより得になる年齢
【繰上げ受給】
60才      75才まで受給(=76才以上生存すると損)
61才      76才まで受給(=77才以上生存すると損)
62才      77才まで受給(=78才以上生存すると損)
63才      78才まで受給(=79才以上生存すると損)
64才      79才まで受給(=80才以上生存すると損)

【本来受給】 65才  −

【繰下げ受給】
66才      77才以上受給(=76才以下で死亡すると損)
67才      78才以上受給(=77才以下で死亡すると損)
68才      79才以上受給(=78才以下で死亡すると損)
69才      80才以上受給(=79才以下で死亡すると損)
70才      81才以上受給(=80才以下で死亡すると損)

男女共、60才や65才時点の平均余命を全うするとすれば、断然繰下げ受給の方が得をするという結果になります。
上記は、「繰上げ受給が得をするのは、受給開始年齢プラス16才までに死亡する場合」、「繰下げ受給が得するのは、受給開始年齢プラス11才以上生存する場合」と覚えることができます。
ちなみに、85才以上生存する場合は、上記の全てのケースのうち、繰下げで70才受給開始とする場合(一番遅く受給を開始する場合)が、最も受取総額が大きくなります。

 

■実際には色々なケースが ー 少なくとも制度と数字を押さえる

計算上は以上でありますが、実際には、年金受給開始前後でいくら健康であっても寿命が長くないというケースもありますし、逆に病弱であっても長生きするケースも多々あります。

寿命は予測できないという事実は、受け入れておくべきでしょう。
また、本当は、繰下げ受給をしたいのだが、60才以降の収入が足りないので、どうしても繰上げ受給をしないといけないというようなケースもあるでしょう。
個別には種々のケースがありえますので、年金の受給開始年齢についても、もちろん一概に何がいいとは言えませんが、少なくとも、制度がどうなっているのか、それぞれの受給開始年齢を選択した場合、他の場合と比べて受給総額が年齢によってどう変わりどれが得をするのかなどについて、数字で押さえた上で判断すべきです。
年金の受取も資産運用も、何となくイメージで行うことは禁物です。
データ、数字を押さえて判断する癖をつけましょう。

 

■資産運用、不動産投資の勉強と実行を

最後に、今後は公的年金の水準が老後の生活に十分でないというケースが更に多くなると予想されています。
そのため、定年退職するはるか前に(若ければ若いほどよい)、金融商品による資産運用や不動産投資などを勉強し実行に移すことが求められます。
皆さんのご準備は大丈夫でしょうか?

注)本稿では、何才以上長生きしたら損だとか、何才までに死亡したら損だとか、人の生死により損得勘定をするようで、少し不謹慎な感があったかもしれませんが、あくまで、年金の受取総額の多寡で経済的な損得を計算しているだけですので、ご容赦願います。
また、一般的には、繰上げ支給、繰下げ支給などと、支給という言葉を使うケースが多いのですが、年金支給側の立場の用語のように感じられますので、ここでは、あえて受取側に立って受給という言葉を使っています。

 

 

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