日本のジェンダー・ギャップ指数は世界142カ国中104位

世界経済フォーラム(WEF)が2014年版のジェンダー・ギャップ指数を公表しました(The Global Gendar Gap Report 2014)。
これは、世界各国の男女平等の度合いを指数化したもので、4つの分野におけるジェンダーギャップを指数化し総合点で順位付けしたものです。
全142カ国中、日本は104位でした。1位は6年連続でアイスランド、2位フィンランド、3位ノルウェー、4位スウェーデン、5位デンマークと、上位は北欧の国が占めています。アジア・太平洋でベスト10入りはフィリピンのみでした。

総合指数を構成する4つの分野は、「経済への参加と機会(男女間の給与格差や管理職登用など経済活動への参加程度)」「教育到達度(教育機会の均等の程度)」「健康と生存(平均寿命など健康の到達度)」「政治への関与(政界への進出度)」の4分野です。
指数は、基本的に男性の実績に対する女性の実績で測られています。

日本の総合順位は104位(前年比1ランクアップ)ですが、分野別に見ると、「経済」102位、「教育」93位、「健康」37位、「政治」129位となっています。明らかに、「政治」と「経済」が足を引っ張っています。「教育」も思ったより悪い順位ですね。

ちなみに、同報告書による日本に対する具体的なコメントを抜粋しますと、次のようになっています。
「日本は、上場企業の女性役員登用率が最低で、1日当たりの無報酬労働(家事労働)時間の男女間ギャップ(筆者注:女性の無報酬労働時間がより長いの意)が最も高い国の一つである。女性のSTEM(科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学)分野での履修者が少なく、同様のことが博士課程の卒業者の比率についても言える。最後に、第一子をもうける女性の平均年齢が29才と最も高い国の一つに属する。」

そもそも、価値判断が大きく影響するこうしたグローバル総合指数の絶対的な信用度については大きな疑問がありますが、それを差し引いても、日本の順位は低すぎだと思います。
その意味で、不完全な指標とはいえども、これが上昇するに越したことはありません。

とは言え、今後を予想するに、「政治」で女性議員比率がどんどん高まることは期待しにくいですし、「経済」分野で、女性の管理職、役員登用比率を飛躍的に高めるのは、安倍内閣が音頭を取っていますが非常に難しいものと思います。そもそも昔流に言う総合職女性社員の比率が低いのですから。絶対数が足りないのです。

扶養控除などの税制変更や、内閣の掛け声などによる女性役員の登用などが取り沙汰されていますが、そもそもなぜ女性が働きにくいかということが本質的に考えられなければなりません。

私の個人的な見解では、ジェンダー・ギャップを解消する本質的な解決策は、次に限ると思います。

1.  男性も含め長時間労働が当たり前でない労働環境を法で強制するくらいの強い環境整備
これは、一番重要だと思います。例えば、子育てをする女性、妊娠した女性が働きやすいように短時間労働等の柔軟な働き方を認めるのは当然ですが、現場レベルでは、それにより担い手がいなくなった仕事を他のメンバーが担わなければならないケースがほとんどで、それ故に不公平感が醸成されてしまっているのです(これを不公平と言ってはいけないという形式的議論も出そうですが)。
全員が長時間労働をしなくてすむ環境が整えば、この不公平感は大きく解消します。企業も、仕事のあり方を考えざるを得なくなるでしょう。政府が導入したがっているホワイトカラー・エグゼンプションには逆行するかもしれませんが、やりかたによっては両立も可能でしょう。

2.  大企業の企業内保育所等整備の強制、保育所費用等の公的支援など国を挙げての子育て環境の整備
これは、説明不要でしょう。

3. 外国人労働者の大量受け入れ
人口減対策に多少ともプラスに働く上に、ダイバーシティが促進され、男女間のギャップの不合理さを指摘するワーカーが増えるように思います。

最後に、ジェンダー・ギャップ指数でみますと、日本女性の教育分野での順位が93位と低く、あたかも絶対的なネガティブギャップが大きそうな感がありますが、これはあくまで国内比較での男女間のギャップですので、女性の教育の絶対的なレベルを表すものではありません。例えば、A国の女性の大学進学率が20%で男性が20%ですと、比率は1.00です。一方、B国の女性が60%、男性が70%だとすれば、比率は、0.86と、この場合、B国の方がランクは低くなるのです。

そういう意味では、日本の女性の教育水準の絶対値は非常に高いはずです。
よって、日本のように教育水準が高い国では、教育分野の指数はあまり重視しなくてよいはずです。

全ては、女性が生涯にわたって、不安なく心地よく働けるかにかかっています。そしてそのことは、男女を問わず、長時間労働をなくせるかどうかにかかっていると思うのです。

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