不動産バブルあるいはミニバブル発生条件の進捗状況を確認

4月8日のこのブログで、「不動産バブルあるいはミニバブルの条件は何か? 」と題して、私なりに考えた成立条件をまとめました。今日は、そこから3ヶ月が経過したので、そこで挙げた条件が現在どのくらい成立しているのかを検証してみます。
番号が付されている文がもともとあげていた条件です。その後の ⇒ 以下の文が今回の確認結果です。

【不動産のバブルあるいはミニバブルの条件】
1. 金融政策頼みで企業の利益成長見込み以上に株価が大幅に上昇していく
⇒株価の上昇は、金融政策やGPIFのリスク資産への配分増などに負う所が大きいものの、日銀の追加緩和時期の後ズレ予想などもあり、当面、個別銘柄の業績相場となることが期待されている。日経平均は15,000円台での動きが多く、16,000円を超えて大幅に上昇していく力強さがないことから、この条件は成り立っていない。

2. 新興ファンドや新興デベロッパーが参入し、従来の価格体系を壊してしまう
⇒まだ、この種の企業は目立って参入してはいない。不成立。

3. 金融機関の融資が前年同月比継続的に5%以上増加を続ける
⇒せいぜい数%のレベルに止まっており、条件は成立していない。

4. 個人レベルでの不動産投資熱が盛り上がる
⇒これは実感として盛り上がっている。保有資産の売却を考える個人投資家も増えてきているが、成立とみておく。

5. 東京オリンピックや復興需要を要因とする建築費上昇による不動産価格の上昇が、質を伴った価格上昇と勘違いされる
⇒そこまでの勘違いはなく、成立していない。

6. 不動産価格や株価の大幅な上昇を支えるまことしやかなロジックがもてはやされる
⇒これは、最近少しづつお目にかかる。
例えば、投資の期待利回りは顕著に下がっており、リーマンショック、サブプライム危機前の水準に近づいているが、「今回の利回りの低下は、期待成長率の上昇に伴う低下であり、前回のミニバブル時がリスクプレミアムの低下であったこととはその内容が異なる」「前回のミニバブル時は、不動産市場が回復するなかで投機的動きが強まり、土地取引が減少しながら地価上昇が生じるという過熱した段階になって相場が持続性を欠いたと考えられる。それに対し、今回は 実需を伴う回復で、相場の局面がまだ「若い」といえる。」「今回は、キャッシュフローの安定性やリファイナンスリスクの抑制をキーワードとした「コア投資」が投資家のニーズの中心となっており今後バブルと言えるほどに価格が吊り上げられる可能性は低い」などと、著名アナリスト、金融系有力シンクタンクがレポートしている。

私としては、リスクプレミアムの低下を他の要素と区別してどうきっちり測れているのか? 期待成長率をGDPの予測値をあてはめることで代替してよしとすることができるのか? アベノミクスによる今般の物価上昇はバブル崩壊後の異次元の動きであるのに、ミニバブル時には取引が少なく、今は取引が多いから相場が持続するという単純なロジックが成り立つのか? コア投資が多いのは確かだが、コア投資だからと言ってバブらないというのは一面的ではないか? など疑問続出である。勿論、上記の各説が間違っているのか、正しいのかは誰にもわからないので、ここでは疑問を感じるというだけしか言わないが、要するに言いたいことは、一方向の意見が強く目立ちだすと危険であるということだ。
結論として、この項目は、成り立ちつつあるとしておこう(半分成立)。


【不動産価格の適度な上昇が頭打ちとなるあるいは下落に転じる条件】
1. 株価が下落し、先行き不安が増大する
⇒上昇に向けた力強さこそないものの、この項は成立していない。

2. 建築費の上昇により不動産への投資が頭打ちになる
⇒販売の後ずらしや人手不足による着工の遅れなどはあり、また、駆け込み需要の反動による建築着工の減少はあるが、頭打ちとは言えない。よって、成立していない。

3. 年央に発表されるアベノミクスの第3の矢がやはり内外投資家の失望を買い日本への興味が冷める
⇒何とか失望は免れたのではなかろうか。不成立。

4. いわゆる地政学的リスクが顕在化し世界経済全体が萎縮する
⇒ウクライナの他、新たにイラクの問題も出てきたが、小康状態であり不成立とする。

5. 中国の経済成長が予想を超えて悪化すること(7%割れなど)がコンセンサスとなる
⇒中国不動産バブル崩壊の懸念が取りざたされているが、現状では、上記は不成立。

まとめますと、11項目中、9項目で不成立、1項目が成立、1項目が進捗中でした。11項目中、まだ1.5項目でしか成立していないということです。結論としては、「まだ、バブル、ミニバブルの両方とも兆しがない」ということになりました。

最近、私の中での有力説は、「バブルもミニバブルも発生しない。但し、景気循環、不動産マーケットの循環により1〜2年以内に不動産価格はピークを打ち下落する」というものです。いかがでしょうか?

ご参考)前回のブログ https://kato-ra.com/2014/04/08/real-estate-bubble/

 

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