7月発表の相続税路線価を先取り計算してみよう!
先日、今年1月1日時点の地価公示価格が国土交通省から発表されました。一方、相続税課税の基礎となる土地の評価額は、毎年7月に「路線価」として国税庁から発表されます。以前このブログでも書きましたが、地価公示と相続税路線価の間には、”相続税路線価 = 地価公示価格 × 80%”の関係があります。そして、相続税路線価は7月に発表されるのですが、実は価格時点は地価公示と同じ1月1日なのです。このことから、先日発表された地価公示価格を利用して7月発表の路線価をある程度正確に予想できるのです。計算の実例を次に示してみましょう。
まず、国土交通省の路線価のHP(下記URLご参照)がありますので、そこで自分が調べたい土地の路線価を調べにいきます。
http://www.rosenka.nta.go.jp
ここの最新の年次(今なら「平成25年分」)をクリックし次に土地の所在地の「都道府県」をクリック、そしてページの一番上に太字で出ている「路線価図」をクリックします。あとは、東京であれば、「区あるいは市」を選択し、更に「町名・丁番等の住所」を選択すると、そこで初めて地図が出てきます。この地図のことを路線価図と言うのです。この路線価図から、対象の土地を、地番や形状を参考に探し出しましょう。対象地が接道する道路に、470Cなどの表記がなされています。この490という数字が対象地の路線価です。単位は千円/平米ですので、470の場合は、平米当たり47万円(坪当たり155万円)ということになります。
具体例でいいますと、例えば、目黒区祐天寺1-18の北西側の道路沿いが対象地だったとします。このあたりの路線価は470(=47万円)となっています。さて、ここからがテクニックです。対象地の近くで、かつ470という数字と同じような水準の数字が記載されていて、かつ四角囲みで「公◯◯」(◯◯は番号)と書かれた地点を探しましょう。この例ですと、「公12基5」と書かれたポイントが近くに見つかります。路線価は490となっており対象地と同様の水準です。「公12基5」とは、目黒区の公示地価12番のポイントであり、かつ同基準地5番のポイントでもあるということです。一般的には、「公12」など「基」の符号がない場合が多いです。
次に国土交通省の「標準地・基準地検索システム」を訪れましょう。(ちなみに、ここでいう標準地とは国土交通省所管の地価公示の公示地のこと、基準地とは各都道府県所管の基準地のことです。標準地は1月1日時点の価格、基準地は7月1日時点の価格です。標準地と基準地では、通常は別のポイントが対象となりますが、一部同じポイントが選定されており、この場合には、半年間の地価の変動がわかります)
国土交通省の「標準地・基準地検索システム」 http://www.land.mlit.go.jp/landPrice/AriaServlet?MOD=2&TYP=0
ここで、路線価の時と同様、都道府県、そして東京ならば区・市などを選んでいきます。上記であれば、「東京」「目黒」をクリックしていくと、検索条件画面が表れます。その画面で、”地価公示のみ”、”最新調査年のみ”を選び、検索してみましょう。アウトプットされた中から、さきほどの路線価図で表示のあった「公12」に基づき「目黒-12」を選びます。すると627,000円/平米と出ています。更に、「目黒-12」の欄の中から「詳細を開く」をクリック、一番下にある鑑定評価書欄の「詳細表示」をクリックしてみましょう。一番下の方に、前年標準地の価格というのが出ていますので、これ(例では615,000円/平米)を書きとめましょう。
ここまでの作業で、
◯対象地の平成25年度路線価 470千円/平米
◇近くの公示地の平成25年度路線価 490千円/平米
◯近くの公示地の平成26年度価格 627千円/平米
◯近くの公示地の平成25年度価格 615千円/平米
がわかりました。
これらから、対象地の今年平成26年度の路線価は、次のように求められます。
対象地の平成26年度路線価 = 470千円/平米 × 627/615 ≒ 480 千円/平米
つまり、対象地の付近で、対象地と一番似ている公示地を探し、その公示価格の昨年と今年の変動率を、対象地の昨年の路線価に乗じるということです。超簡単に算出できます。
もっとも、この路線価は土地の形状や道路との接面状況など種々の要素が標準的な場合の価格ですので、地形が悪かったり一定の事情がある場合は、この価格に加減算されることにご注意願います。
以前にも書きましたが、2015年1月1日以降に発生する相続には、改正された増税志向の相続税が適用されます。ある調査によれば、相続税の申告対象となる課税対象者(納税対象者と、申告により特例を適用し相続税がゼロとなる人の両者を含む)が倍増以上に増えるという試算もなされています。
不動産を相続する可能性がある方は、予め対象資産の相続税上の課税価格を調べて、相続税額を試算しておいた方が良いでしょう。そこから、相続対策が始まります。
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