三菱地所の格下げに想うオフィスエリアの盛衰

今月中旬、格付投資情報センター(R&I)によって、三菱地所の発行体格付が、AAからAA-へと1ノッチ(1段階)格下げされたのをご存知でしょうか?

理由は、同社のメインエリアである丸の内・大手町エリア(略称丸大)の賃貸オフィスビルがかつてほどの競争優位性を維持できなくなってきていることだそうです。

ここ10年ほどの間に、中央区、港区で仕様や立地に優れた新規ビルが増加し、丸大エリアの優位性がやや薄れていること、丸大エリアにおける大規模ビルの相次ぐ竣工により需給が構造的に緩んでいることが、その背景にあるとR&Iでは分析しています。更に、R&Iでは、東京都心部のオフィスビル市況は回復局面にあるものの、その勢いは弱く、2016年から2018年を見通しても、大規模オフィスビルの竣工が数多く予定されていることから、中期的にも需給の大幅な改善は見込めないと結論づけています。

昨年12/24の私のブログで、丸の内エリアに対するテナントの人気が相当に低下してきていることと、それは利便性等との比較による賃料の高額さの影響であろうということを、森ビルのテナント調査の裏読みとして書きましたが(森ビルはさすがに言及していない)、まさにこの格下げはこの時の裏読みと一致すると言えます。

とは言え、R&Iも丸大エリアのオフィス立地の優勢性が揺らぐとまでは言っていません(微妙な表現ですが)。また、他の有力大手総合不動産である三井不動産の格付はA+、住友不動産はA-であり、格下げ後も引き続き三菱地所の格付(AA-)が一番高いことを申し添えておきます。更に、格付けは債務の返済可能性を判定するもので財務の安定性を最優先する指標ですので、収益力や株価に直接連動するものでもありません。

ここで言いたかったのは、オフィスエリアの人気や格も、長期ではどんなエリアでも安泰ではないのだなあということなのですが、日本のオフィスマーケットにおける超トップエリアである丸大を例に取り上げてみました。

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