【続報】不動産の節税効果を減退させる動き-令和8年度税制改正大綱(与党)の内容

前回のブログ(2025.12.19、メルマガでは2025.12.2)でお伝えした「不動産の節税効果を減退させる動き」についてですが、自民党と維新の会による「税制改正大綱」の中身を確認したところ、どうやら、具体的内容は、一つも折り込まれておりませんでした。

税制改正大綱には、「第一 令和8年度税制改正の基本的考え方」と「第二 令和8年度税制改正の具体的内容」の2つの章があり、後者に、数字や期間など具体的な内容が盛り込まれているのですが、今回、先に問題を指摘させていただいた「貸付用不動産の評価方法の見直し」と「不動産価格高騰への対応(短期転売への制限)」については、具体的には何も決定されておらず、今後の継続検討により、評価方法の見直し、税制上必要な措置を講じることを進めていく模様です。

課題が取り下げられたわけではなく、これから検討し何らかの対策を講じる方針が示されたということになります。

ただ、関係団体等の意見を聞いたり、マンション取引の実態把握を継続し種々の影響を考慮するとのことですので、結果的に、対応策はマイルドになっていくのではないかと推察いたします。

下記は、税制改正対抗のうち、上記の該当部分(原文ママ)です。ご参考まで。


令和8年度税制改正大綱(令和7年12月19日、自由民主党、日本維新の会)

第一 令和8年度税制改正の基本的考え方

4.公平かつ円滑な納税のための環境整備

(1)税負担の公平の確保に向けた是正

③ 不動産に係る公平の確保

イ 貸付用不動産の評価方法の見直し
貸付用不動産の市場価格と通達評価額との乖離の利用によって相続税や贈与税の税額が大幅に圧縮されている事例が把握されていることを踏まえ、納税者の予測可能性を確保し、評価の適正化及び課税の公平性を図る観点から、関係団体等の意見を聴きつつ、貸付用不動産の評価方法の見直しを行う。

ロ 不動産価格高騰への対応(新築マンションの短期売買)
近年のマンション価格の高騰については、その一因として、都心の大規模マンションを中心に、短期売買が増加傾向にあることが挙げられる。実需に基づかない投機的取引は好ましくないとの考えの下、民間部門でも対策が講じられ始めている。その結果も踏まえつつ、引き続き、所管省庁においてマンション取引の実態把握を継続し、本来あるべき不動産取引への影響や、資産価値への影響など、様々な観点を考慮しながら、税制上の措置を含め必要な措置を講ずる。