首都圏マンション供給の上半期大幅減少は経済合理的

長谷工総合研究所が7月24日に発表した「首都圏・近畿圏分譲マンション市場動向」によりますと、首都圏における2014年上半期の分譲マンションの新規供給数は、19,394戸と前年同期比20.2%の減少となりました。上半期で2万戸を下回ったのは、2011年以来です。

一方、初月販売率は、78.4%と前年同期並み(78.8%)で推移しました。販売率で見ると好調であったと言えます。比較的好調な販売と供給の減少により、6月末の分譲中戸数は3,718戸となり、昨年末よりも1,372戸減少しました。

首都圏全体の分譲単価は、707千円/㎡と前年比1.4%上昇、平均価格も同1.6%上昇の5,010万円となりました。ただし、東京23区では、それぞれ0.8%、0.5%の上昇にとどまり、2014年においては、23区以外の郊外部での単価、価格の上昇が顕著になっています。

上半期までの実績を受け、長谷工総合研究所では、期初に予想していた2014年の新規供給戸数を大幅に下方修正しています。
首都圏では、当初予想57,000戸を50,000戸に、近畿圏では、同25,000戸を21,000戸に修正しました。

新規供給戸数の減少や、予想の下方修正は少し寂しい感じがしますが、安定的に緩やかにマンション価格が上昇していくこと、急激な値崩れが起こらない、という意味では、歓迎すべきことではないかと思います。建築費上昇や販売価格上昇に伴う販売の後ズラシをメイン理由として供給が減っている訳ですが、これは供給主体にとっては経済合理性のある行動でしょう。需要側の購入層にとっても、急激な価格上昇が抑えられ、かつ選択肢も分譲中、分譲予定も含め比較的豊富にある中では、低金利や望ましい経済情勢を背景に、さしたる問題にはならないと思われます。

後は、マンション価格がどこで値崩れを起こすかが、今後注目すべきポイントとなるでしょう。23区の上昇率が一服し郊外に大きな上昇が移ってきたことは、値崩れまでのステップを一段登ったとも言えるからです。いずれにしても、緩やかな上昇は緩やかな下落に、急激な上昇は急激な下落につながりやすいことは覚えておきましょう。

 

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