日経オフィスビル調査のインタビューコメントからマーケットを読み解く
5月6日に日経の「オフィスビル調査」の結果が発表されました。東京に関して見てみますと、新聞の見出しは、「賃料、4年半ぶり高水準」「移転先選び、エリア幅広く」「人員増やす企業多く」などとなっています。企業活動の活発化により、企業が移転を促進する、まとまった面積を借りる、などの動きが起こることは予想通りです。問題は、果たして賃料が上昇しているかどうかです。
この点を探るため、インタビューあるいは寄稿された記事の紙面上のコメントを集めて、テキスト分析的に見てみましょう。下記が、各コメントの要約です。
・お客の要望に応えるビルの提案がしにくくなっている(大手不動産)
・空室が発生しても同じビル内の企業が増床して決まることもある(オフィス仲介)
・古いビルでもまとまった面積が確保できれば入居企業が見つかる(オフィス仲介)
・採用のため立地改善ニーズが高い(大手不動産)
・単一フロアでなく、複数フロアにまたがっても仕方がないとする企業が出てきた(オフィス仲介)
・グループ企業の拠点集約、賃貸面積2割増(IT企業)
・固定費を増やす余裕のない企業も多い(オフィス仲介)
・前向き移転でも利用効率を高め移転前より面積が減少するケースもあり総需要は伸び悩んでいる(オフィス仲介)
・一段の空室率低下、賃料の本格的上昇には高額賃料を負担できる外資系企業の呼び込みが必要(オフィス仲介)
これらを眺めていると何が見えてくるでしょうか? 企業が移転のためのまとまった面積を確保しにくくなっていること、企業の移転自体は活発なこと、企業により面積拡大・縮小はまちまちなこと、賃料に関し企業の負担力が一般的にはさほど改善しておらず需要の力強さにもやや欠ける、などとまとめることができそうです。
そして、どちらかというとネガティブな発言が、複数のオフィス仲介会社から出ていることに私は注目します。仲介会社は、「いい空きスペースが少なくなっていること、賃料が上昇中あるいは先高感がある」ことを喧伝すれば、お客様との商談を進めやすくなります。にもかかわらず、積極的発言が少ないことは、やはり現場レベルでは今ひとつ賃料上昇の勢いが欠けていることを示していそうです。
紙面にある賃料グラフでは、既存ビル賃料が4年半ぶりの高水準になったことが示されているようですが、日経のデータの作り方が、仲介会社などから聞き取り調査した募集賃料を平均して調整したもののようですので、手法からしてかなりブレのある数値と考えておくべきでしょう。
結論として、まだ賃料の本格上昇には力強さが足りていないと言えそうです。
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