OECDの「今後50年の世界経済展望」が怖い

今月2日に、OECD事務次長でチーフエコノミストの玉木氏が経済産業研究所のセミナーで行ったプレセンの資料が同研究所のHPにアップされていたので、ダウンロードして拝見しました。

そこには、世界全体の経済成長率は、現在の3%後半から、2050-60年には2%前半に、新興国ですら2%後半に落ち込むというデータが示されていました。言われてみれば、未開発で人口の多い国がどんどん開発されていったら、もう後には急成長を遂げそうな国は残っていませんよね。50年後には、新興国ですら経済成長率は3%を切ってしまうということは、多くの人の中では当たり前のことなのかもしれませんが、私には非常に新鮮に映りました。

世界経済は相互依存性を高め、貿易は新興諸国、とりわけアジアへ移行し多極化するとした上で、就業者数増加はもはや、成長の主な牽引力とはならないと結論されています。成長に関しては、イノベーションと生産性のキャッチアップが成長を牽引し続け、その鍵は教育と技能の向上であると言っています。

そして、OECDの政策チャレンジとしては、「成長の持続」「広がる格差」「環境保護」への対応の3つがあげられています。

所得格差は、既に各国で起こっていますが、今後ますます、高技能労働者の賃金が高まる一方で、先進国における低技能労働者の賃金は低下するという減少が世界レベルで起こります。

うーん、この資料を読む限りでは、長期ビジョンに明るい材料がなさそうです。

個人としては、今後、ここで言う所の「教育」により「高技能」を身に付け、個人的に備えるしかないのでしょうか。

話は全く変わりますが、不動産で言えば、OECDの政策チャレンジの1つ「環境保護」に関する建物の機能とオペレーションが今後絶対的に重視されていくはずです。日本では、これに加え「耐震性と災害への備え」も同時に重要となるでしょう。デベロッパー、ビルオーナー、テナントといった当事者の全てが、適した建物を開発する、保有する、借りるという点で、利害の一致が図りやすくなる時代が到来するのものと期待します。

そして、こうした状況を受け、長期の不動産投資(プロ投資家の世界)では、今後、「環境保護」等に関する格付がようやく脚光を浴びるようになるはずです。日本ではCASBEE、米国ではLEEDなどの環境性能の評価制度がありますが、言ってしまえば、今は、一部の関係者しか知らない制度です。今後、こうした制度がそのまま存続するのか、発展的に新たな制度ができるのかはわかりませんが、目指すは環境保護で一致していますので、環境に優しいとともに利用者にも優しいより良い制度に発展していってほしいものです。

 

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