このブログは、7月3日 13:00過ぎに配信した弊社メルマガと同一内容のものです。

■7月2日 J-REIT暴落のサプライズ
7月2日、東証REIT指数が前日比2.1%下落の1,772.95を付け、一気に約7ヶ月半振りの水準まで低下しました。
報道などによると、下落の要因は、一部ファンドによるまとまった売りとしか出ていません。
そこで、私なりに色々調べていたところ結局わからなかったのですが、何と7年前の同じ日に同じような指数の動きがあったことが判明したのでご紹介します。

■7年前の同じ日に何が起こったか?
丁度7年前の2008年7月2日、東証REIT指数は、前日比マイナス3.4%の1,359.18となり大きく下落しました。
リーマンショックがこの年の9月中旬ですからその数ヶ月前という時期ですね。
年初の1,800強から徐々に下落が続き、7月1日時点で既に1,406.89まで落ち込んでいたものです。
この時の下落の背景として、「市場低迷による新規上場、公募増資の取り止めなどで資金調達環境の悪化が露出」「分譲マンション販売低迷、金融機関の融資姿勢の厳格化による中堅不動産会社の業績低迷」「小規模J-REITの借入コスト上昇」「不動産価格が足許減速あるいは一部下落に転じている可能性」などが推測されていました。

■7年前J-REIT暴落直後の証券レポート
で、ここからが面白いのですが、この急激な下落に関して、有力アセットマネジメント会社が当日ないし翌日に出した当時のコメントです。

【超有力証券系AM会社】
・ 公募増資成功銘柄もいくつかある
・ 大規模銘柄の資金調達状況に変化はなくJ-REIT全体では大きな悪影響は受けていない
・ 鑑定価格はオフィス中心に横ばいから若干の上昇傾向にあり優良不動産のキャッシュフローと資産価値は維持される
・ 結論として、短期的には不安定な動きとなることが予想されるが、物件キャシュフロー、国内不動産のファンダメンタルズは依然堅調であり、中長期的には安定する

【メガバンク系AM会社】
・ J-REITの予想配当利回りが10年国債利回りを大きく上回っている
・ 都心5区のオフィス空室率は3%を上回ったものの需給は引き締まっておりオフィス賃料の大幅値下がりは考えにくい
・ 結論として、空室率の動向には今後も注意が必要だが、中長期的にはJ-REITの相対的に高い利回りを反映し底堅い展開に戻る。

結果は、皆さんご存知の通り、7月末1,343.63、8月末1,260.02、9月末1,131.67、10月末863.21、10月28日704.46(当時の最安値)、11月末857.60、年末900.36と推移し、その後に続く長期低迷に陥ったのです。

■今回はどんなレポートが出てる?
では、今回の下落についてはどのようなコメントが出ているのでしょうか?

【信託銀行系AM会社】
・ 日本銀行の追加金融緩和は継続されている
・ 路線価の上昇など不動産市場の回復が続いている
・ 全般にJ-REIT市場を取り巻く環境は改善傾向が続いている
・ 足もとのJ-REIT配当利回りは3.17%、リスクプレミアムは2.64%と利回り面からみた投資魅力は継続している

■私が言いたいこと
以上ですが、上記から私が何を言いたいかというと次の通りです。

・ 7年前の7月当時に、9月に起こるリーマンショックを予想すべきだったとはもちろん言わないし無理な話であるが、前年のサブプライム問題を受けて、不動産マーケットは2008年前半には既に目に見えてわかる程度に不調をきたしていたので、既にそういうオピニオンが周りにあることを知りながらこれを正面から捉えていないAM会社のコメントは問題があろう。

・ AM会社で不動産を実際にいじっている人は極めて少ないので、不動産マーケットの捉え方は、遅効性のある公表データや表面的な解釈に陥りがちである。また、レポートでは現状を説明しているものの、一番大事な将来のマーケット動向に関する分析に乏しい。

・ 下落のあった当日や翌日に即座にレポートを発表するAM会社には敬意を表するが、実際にそのような短時間で分析ができ適切な深いオピニオンが書けるかどうかを考えると内容の適切さには疑問を感じる。また、内容は種類にかかわらずほぼ全部が、「短期的には調整ないし不安定な動きをする可能性があるが、中長期的には落ち着いて堅調な動きを取り戻す」となっている。要は、営業に支障がないよう、投資家を安心させることがレポートの唯一の目的となっているのが実情である。(マーケットには、ポジティブな要素とネガティブな要素が必ず混在しているので、ポジティブな要素に力点を置くことで、書こうと思えば誰でもいつでもポジティブなレポートを書ける。逆もしかりだが)

・ 今回の信託銀行系AM会社のレポートでは、路線価を取り上げているが、これはあくまで1月1日時点の価格であり公示価格が3月に発表された時点で既に趨勢は明らかになっているものである。丁度7月1日に公表されメディアでも取り上げられているのでタイムリーなことは間違いないが、筆者はこれを知らないかあるいはより大きな可能性としてわざと最新情報のように取り上げている可能性が高い。本来ならば、1月以降の地価ないし不動産価格の動きに言及すべきである。

■私のJ-REIT予想
では、批判ばかりでなく私の予想を申し上げます。

・ 今回の下げは、確かに、マーケットのファンダメンタルズ的要因は見当たらないので、一部投資家の売りによるものと推定します。ですので、近いうちに落ち着くと考えられます。

・ 東証REIT指数は、長い間非常に狭いレンジで推移してきましたので、この下げに狼狽する投資家、今後の指数上昇を諦めた投資家が売りに出ることが予想される一方、平均分配金利回り3.32%、イールドスプレッド2.8%、1800を大きく切る指数水準を絶好の押し目買いの機会と捉え買い出動する投資家も多く予想されます。今回の下げがファンダメンタルズ要因でないと見る限り、後者の方がそのうち優勢になるのではないかと推察します。

・ 不動産のファンダメンタルズについて言えば、メインのオフィスの空室率の低下は落ち着きつつあるものの、賃料は緩やかながら上昇を続けており企業業績の向上に伴い当面は緩やかな上昇を継続するものと考えます。

・ 地価、不動産価格については、今年に入ってからも上昇を続けており、REITプレーヤー、私募ファンドのプレーヤー、個人投資家達の需要と先高期待感は相変わらず根強いので、今後も当面は不動産価格の上昇が見込まれます。

・ こうしたファンダメンタルズの今後の動きを考えると、金利の上昇(見込み)と打ち消し合いながらも、7月2日の指数水準からみて、緩やかな上昇が見込まれましょう。

・ ただし、少し指数が上昇すると、また NAV倍率やイールドスプレッドの視点から割安感や先高感はなくなりますので、アップサイドは多くは望めず、再びボックス圏に入る可能性は高いと思います。また、金利の動向によりボラティリティは高まるでしょう。

・ よって、短期で小刻みでもいいから稼ぎたい人にとってはいい相場ですし、長期保有で押し目買いをする人にとっても一つのいい機会であるという程度と考えます。

最後に改めて、今日の格言は「AM会社、証券会社が発行する相場暴落直後の安心レポートは鵜呑みにするな」でした。

 

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