平成27年度税制改正大綱から気になるポイント

2014年12月30日に、自民・公明両党による平成27年度税制改正大綱が公表されました。
今回は、この大綱の中から、個人の資産運用や相続・贈与に関わるもの、不動産に関わるもののうち、主なものを取り上げてみました。

この税制改正大綱は、あくまで政権与党が取りまとめたものであり、このまますんなり改正されるかはわかりませんが、概ねこの方向で改正されることが多いとは言えましょう。生活に密接に関係しますので、今のうちから押さえておくことは意義があることと思います。以下で、内容をご紹介します。

 ・税制改正大綱より改正の注目ポイント

【NISAの非課税枠拡充、未成年NISA創設】
2016年分以降の非課税口座の限度額を100万円から120万円に引き上げ。
20歳未満にも80万円の非課税枠を創設。

【住宅取得に係る贈与税非課税措置を延長】
住宅向け贈与に係る非課税制度を、拡充・延長。
非課税枠は省エネ住宅の場合、現行の1000万円から、2015年:1,500万円、2016年1〜9月: 1,200万円、16年10月〜17年9 月:3,000万円、17年10月〜18年9月:1,500万円、18年10月〜19年6月:1,200万円。

【教育資金の贈与税非課税措置を延長】
教育資金の一括贈与非課税制度の期限を、現行の2015年末から2019年3月まで延長。

【結婚子育て資金の贈与税非課税措置を新設】
直系尊属による結婚・子育てに係る贈与を、2019年3月まで一定額非課税に(受贈者一人につき、結婚:300万円、子育て:1,000万円)。

【住宅ローン減税の延長】
消費税率引き上げの延期に合わせて、住宅ローン減税の拡充を2019年6月まで延長(現行:2017年末) 。

【個人型確定拠出年金の加入者範囲の拡大】
個人型確定拠出年金制度の加入者に、下記イロハニが追加される。これらの者の拠出限度額は次のとおり。
イ 企業型確定拠出年金加入者(他の企業年金がない場合) 年額24万円
ロ 企業型確定拠出年金加入者(他の企業年金がある場合) 年額14.4万円
ハ 確定給付型年金のみ加入者及び公務員等共済加入者 年額14.4万円
ニ 第三号被保険者 年額27.6万円 (いわゆる専業主婦)

【空き家除却の促進】
勧告のあった空き家のある土地について、住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の対象から除外。

【地方拠点設立の投資減税、雇用促進税制】
都市から地方に拠点を移転した場合、建築・構築物投資や地方拠点での雇用者増加に対して税優遇。

・筆者が注目する今後の検討事項

【配偶者控除等、個人所得課税の見直し】
大綱の「基本的考え方」で示された検討方針は、『社会の基本は「自助」にあることを踏まえ、家族の助け合いの役割も正しく評価する必要がある。
効果的・効率的に子育てを支援する観点、働き方の選択に対して中立的な税制を構築する観点を含め、各種控除や税率構造の一体的な見直しを丁寧に検討』である 。
これに関しては、税制調査会(2014年11月7日)で示された、 配偶者控除の『廃止』、『移転的基礎控除の導入』、『新しい「夫婦控除」の導入』の大きく3通りの案を軸に検討される見込み。
改革によって、実質増税になるかが注目ポイント。

【個人事業者の事業承継に係る税制上の措置】
現行制度上、事業用の宅地について特例措置があり、既に相続税負担の大幅な軽減が図られていること、事業用資産以外の資産を持つ者との公平性の観点に留意する必要があること、法人と異なり、対象とすべき事業用資産とそれ以外の資産の区分が明確でなく、それを客観的に区分することも困難であること、株式等が散逸して事業の円滑な継続が困難になるという特別の事情により特例が認められている法人の事業承継とは異なること等の問題があることに留意し、既存の特例措置のあり方を含め総合的に検討する。
上記をまとめますと、継続される既存の優遇措置はもちろんのこと、新設される「未成年NISA」、「直系尊属による結婚子育て資金の贈与税非課税措置」、「専業主婦や公務員に開放される個人型確定拠出年金」の各制度を、個人は、財産形成、資産防衛策のツールとして十分有効に活用していくべきでしょう。

雑談的には、「地方拠点設立の投資減税」によりどれだけそれを大きなインセンティブとする投資が行われるか疑問、なぜなら、地方に拠点を構えること自体に事業戦略的な魅力がないと意味がないからです。
また、「個人事業主の事業継承」については、上記の大綱の考え方からは、既存の特例措置が大きく撤廃ないし後退しそうな感じがします。

いずれにせよ、税制は、随時変わっていきますから、その節目を押さえ、各種制度を自分に有利にどううまく適用できるかが、資産形成、資産防衛の肝となります。

自由民主党・公明党 平成27年度税制改正大綱は、こちからから入手できます。
https://www.jimin.jp/news/policy/126806.html

 

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