中古住宅の売買には住宅性能保証書付きがお勧め

日本経済研究センターが発行する「日本経済研究」という学術論文誌のNO71(2014.9)に、「中古住宅取引における品質情報の影響」(著者:原野啓 日本住宅総合センター、瀬下博之 専修大学)という論文が掲載されました。
この論文によりますと、種々の検証から次の結果が導き出されたとのことです。

以下の「 」内は、当論文からの引用です。

「主な結果は以下のとおりである。

  • 保証書は取引価格を上昇させるが、評価書は取引価格に影響しない
  • 保証書は、リスクを回避する傾向が強い個人の選択確率を上昇させ、偽装事件後にはその影響がより顕著になっている
  • 評価書は、偽装事件後において、リスクを回避する傾向が強い個人の選択確率を上昇させている
  • 大手デベロッパーの販売する住宅は、偽装事件前はリスクを回避する傾向が強い個人の選択確率を上昇させていたが、偽装事件後はその影響が見られなくなっている
  • 消費者のリスク回避的な傾向は取引価格の上昇に影響していると考えられ、保証書住宅を転売した場合には、その住宅の所有者にとって費用対効果の大きい制度である

以上の分析から、消費者のリスク回避的な傾向によって取引価格が変化し、住宅性能保証書を保有している住宅では選択確率の有意な上昇によって、中古住宅の価格上昇がもたらされていると考えられる。
保証書は、新築時の品質情報を提供している点では評価書と同様であるものの、評価書を保有する住宅では選択確率も取引価格も有意な上昇を示していないことから、一般には建築時の構造や品質よりも、むしろ居住によって生じる品質の劣化の程度などの情報が重要であることを示唆している。」

ここで、「保証書」とは、「住宅性能保証書」のことで、新築時から10年間は、基本構造部分における瑕疵が明らかになった場合に補修費用が支払われる仕組みとなっています。
一方、「評価書」とは、「住宅性能評価書」のことを言います。また、「偽装事件」とは、2005年11月に起きた「構造計算書偽装事件」のことです。

要は、「保証書」のある住宅は、その取引価格が上昇するということです。
一方、「評価書」の場合は、その時点での品質が評価されており、その限度において品質が保証されているとは言えるものの、その後の問題に対処できないことから価格には影響しないということのようです。
よって、結論としては、「住宅性能保証書」のある住宅を購入し売却する場合には、費用対効果が高くなるのでお勧めです、ということになります。

但し、現実的には、住宅を新築後10年以内に売却するケースはまれであり、10年を経過すると保証が効かなくなりますので、上記の推奨も一部にしか適用できないことになってしまいます。

今後、既存の中古住宅に関しても、長期一定期間の保証書が発行されるような制度ができそれが広まっていけば、リスクを避ける傾向の強い人が多い日本においても、中古住宅の取引が活性化するものと思われます。

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