東京オフィス市場の空室率改善進むが賃料はまだまだ

オフィス仲介大手3社の2014年3月期のオフィス空室率データが出揃いました。各社の東京5区(全体平均)の空室率は、次のとおりとなりました。各社とも空室率の改善(低下)傾向は継続しています。

CBRE        4.6%(*前月比マイナス0.8ポイント)
三幸エステート 6.0%(同マイナス0.2ポイント)
三鬼商事          6.7%(同マイナス0.3ポイント)

各社、算出対象ビルのカバー範囲が異なるので数字が異なるのは当然ですが、前月比の低下幅が1社(*CBRE)だけ飛び抜けているのは興味深いことです。と思い、プレスリリース資料をよく見てみますと、どうもカバレッジを変更したようです。対象となるビルの規模を2倍に引き上げたことが読み取れます。資料には、賃料に関して集計方法を変えたという旨の表記がありますが、空室率の算出対象も同様に変わった模様です。そのため、上記前月2月との比較は同社に関しては意味のないものになっていそうです。今回のプレスリリース資料には2013年12月期の東京主要5区の値は5.9%となっており、1月発表のデータ6.1%と0.2ポイントの乖離が出ていますので、カバレッジの変更で空室率は0.2ポイント程度押し下げられたと言えそうです。それでも、3月データの他社との乖離は大きいですが、カバレッジの相違と変更以外に考えられる要因としては、各社の情報把握時点の相違、新築ビルの竣工ないし稼働時期に関する認識の相違、過去データ修正などが考えられます。

一般に、東京ではオフィス空室率が5%程度まで低下すると賃料が上昇すると言われています。言わば、自然空室率のようなものですが、CBREのデータでは既に5%を切ることとなりました。既に、足元では立地条件に優れスペックの高いオフィスビルで稼働の良いものについては、新規賃料の上昇が認められます。ただし、これがより多くのビルに波及していくには、三幸エステート、三鬼商事ベースの空室率が5%に近づくのを見極める必要があるのかもしれません。

注目のオフィス賃料については、CBREが2013年12月比(東京グレードAオフィス想定成約賃料)で0.5%上昇、三幸エステートが、東京主要5区大規模オフィスビル募集賃料で同マイナス0.7%、三鬼商事が東京主要5区全体の募集賃料で同プラス0.7%と、あまり方向感のないものとなっております。募集賃料は、高額のものが成約し算出対象から外れるとかえって下落するという致命的欠陥をもっていますし、想定成約賃料はそれまでのトレンドに逆行する変換点を現場の営業マンが的確に捉えうるかという問題をもっています。いずれも、算出期毎に対象となるビルのバスケットが異なるもののこれを特に考慮しない単純平均が公表されているのが普通ですので、時系列比較を行うには頼もしいデータとは言えないのが悩ましいところです。

企業業績は2013年度に大幅に改善しましたが、2014年度は利益ベースで微増からせいぜい10%程度に終わる可能性が高いことを考えますと、結論としては、オフィス賃料の幅広い上昇にはまだ時間がかかりそうであり、経済の先行きによっては、腰折れする可能性があり、そうでなくとも平均上昇率は大きいものとはならない、という感じでしょうか。

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