人口ボーナス期・人口オーナス期って何? 外国投資では必ず考慮すべきもの!

皆さん、「人口ボーナス期」とか「人口オーナス期」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか?
まずは、「従属人口指数」という定義がありますので、この説明からいたしましょう。この指数は、幼年人口(0才〜15才未満の人口)と老年人口(65才以上の人口)を合計したものを、生産年齢人口(15才以上65才未満の人口)で割ってパーセントで表したものです。例えば、2015年の韓国の「従属人口指数」は、37.0%と推計されていますが、この意味は、2.7人の生産年齢人口で、1人の幼年・老年人口を支えるということになります(100÷3.7=2.7)。ですので、この指数が小さければ小さいほど、多くの働き手で、幼年者・老年者を支えている社会だということができます。

そして、「人口ボーナス期」とは、この「従属人口指数」が、低下する時期をいいます。逆に「人口オーナス(=負担)期」とはこの指数が上昇する時期をいうのです。「人口ボーナス期」には、豊かな労働力があり、従属人口を扶養する負担が軽いことから、人口構成が一人当たり経済成長を押し上げる効果があり、逆に「人口オーナス期」には、人口構成が一人当たり経済成長を押し下げる効果がある、と考えられています。 アジア諸国の「人口ボーナス期」入りした時期と、「人口オーナス期」入りする時期を下に記します。

日本           ボーナス期入1930年 同期間65年 オーナス期入1995年
中国・シンガポール・タイ ボーナス期入1970年 同期間45年 オーナス期入2015年
韓国           ボーナス期入1970年 同期間50年 オーナス期入2020年
ベトナム         ボーナス期入1975年 同期間45年 オーナス期入2020年
インドネシア       ボーナス期入1975年 同期間55年 オーナス期入2030年
マレーシア        ボーナス期入1970年 同期間65年 オーナス期入2035年
インド・フィリピン    ボーナス期入1970年 同期間75年 オーナス期入2045年
出所:内閣府「世界経済の潮流」平成22年5月
上表は、人口データ自体が5年刻みですので、その年にぴったり始まった、終わったと、いうことにはならないことについてご注意ください。また、「人口ボーナス期」「人口オーナス期」の定義については、上述したものとは別の定義もあります。ここでは説明しませんが、定義の違いにより上記の年次にも相違が出ていることがありますのでご注意ください。

日本の失われた20年は、「人口オーナス期」入りしたのだからから当然という有力な説があります。上表でいえば、日本は1990年-1995年の間に「人口オーナス期」入りしたと読めますので、丁度バブル崩壊の開始時期と合っていると言えそうですね。
もちろん、一国の経済成長は、人口動態のみならず、政治、法律・行政や労働の質、技術革新など種々の要素が影響を及ぼしますので、労働人口が増え続けるからと言って必ずしも高い経済成長を遂げるとは限りませんが、最大の影響力を持つ要素の一つが人口動態であり、この「人口ボーナス期」「人口オーナス期」が非常に大きな意味を持つということは言えるでしょう。

東南アジアを中心として、企業や個人による新興国への投資が盛んなようですが、新興国だからといって、十把一絡げに見るのでなく、この「人口ボーナス期」「人口オーナス期」という概念をよく利用する必要があると思います。
政治や地政学的リスクを別とすれば、「人口オーナス期」が今後も長く続く国は、道路や上下水道、建物などのインフラが整備され、生産施設がどんどん建てられ、消費が盛んになるという状況が容易に予想できます。そうした国の不動産や、株式は長い目で見た場合には、投資対象として有力視できるものと思います(もちろん、短期的には色々な動きが出るでしょうが)。

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