中国赴任社員にPM2.5手当! 中国のオフィスマーケットはどうなる?

各種報道によりますと、中国の大気汚染が激しさを増し不安が高まる中で、日本企業の中には中国に駐在する社員の健康に配慮する「PM2.5手当」の支給を検討する企業が増えてきた、とのことです。手当の名称は、必ずしも「PM2.5手当」ではなく「環境差手当」など色々呼称はあるようですが、いずれにせよPM2.5による大気汚染のひどさを踏まえての企業の対応ということに間違いありません。対応中あるいは対応予定の企業として、パナソニックや東芝の名前があがっています。

これをオフィスマーケットに照らしてみるとどんなことが言えるでしょうか? 北京や上海に進出しているグローバル企業の中には、自社が入居するオフィスビルに関し、地球環境の観点からLEED(Leadership in Energy & Environmental Design, 米国発のビルの環境性能評価規格の一種, 日本だと類似のものにCASBEEがある)で一定の認証を受けているものに限るなどの内規を持っている企業がたくさんあります。それほど、環境や省エネに対し重きを置いているということです。

こうしたグローバル企業のワークプレースに関する方針のもとでは、大気汚染の激しい中国で従業員を働かせることの問題がますますクローズアップされてくるでしょう。手当で対応するとすれば、コストアップにつながります。なるべく従業員を増加させまいとすると、北京や上海といえども、オフィスニーズの減退につながります。既に北京は世界でベスト5以内に入る高額賃料のマーケットになっていますので、中国経済の減退とあいまって賃料上昇に歯止めがかかる可能性があります。

ただ、中長期的にみれば中国は引き続き世界の最重要市場の一つですので、北京や上海というTier1都市からの企業の撤退は考えられません。よって、グローバル企業や各国政府レベルでオフィス環境に対する改善要求、大気汚染そのものに対する対応要求が強まり、中国もこれに早期に対応せざるを得ない状況になると思われます。
このことは、中長期的には、中国のオフィス市場としての価値を高めることにつながるでしょう。

別の視点では、この間、経済の発展状況とも関係しつつ、Tier1都市に代わって、Tier2、Tier3都市のオフィス市場が盛り上がることが予想されます。

注)中国のTeir1都市:政府直轄4市(北京、上海、深圳、広州)、Teir2都市:省都・副省級市クラス、Tier3都市:地級市クラス

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