サラリーマン大家は失敗しないのか?

サラリーマン向け不動産投資本が盛ん

本屋さんでよく見る種類の投資本に、「元手ゼロ(あるいは数百万円)からスタートし、数年で億を超える資産家になった(あるいは年間数千万円の家賃収入を得るようになった)」などというものがありますが、こうした本が結構売れているようです。

人気の理由

理由は、将来の公的年金への不安など老後の生活不安、リストラの不安などに備えたい、不労所得を得るつまり楽して収入を得たい、と考えるサラリーマンが多いということでしょう。

これに、周辺環境、すなわち、貸出競争が激しい金融機関(ノンバンクも含む)が借り手に有利な条件で不動産担保貸出を行う、物件を売りたい業者がこれをあおる、自らサラリーマン大家となった者がコンサルタントと称しコンサルで稼ぎたいがために本を書いてあおる、などの要因が加わっているようです。

また、アベノミクスによるデフレ脱却の兆し、東京オリンピックによる開発計画の目白押しの状況などから、今後こうしたトレンドに拍車がかかりそうです。

サラリーマン大家はバラ色か?

では、サラリーマン大家は本当に儲かるのでしょうか? 失敗しないのでしょうか?
結論は、ケースバイケースです。全然面白くない結論ですが、当然そうなります。
ただ、次のような場合には限りなく高い確率でいずれ失敗するものと考えます。

危険なサラリーマン大家の9つの兆候

  • 高いレバレッジ(物件の評価額に対する融資金額の比率が高いこと)で融資を受けている ー大家である借主にとっては自己資金を少なくして投資できるという投資時のメリットは大きいのですが
  • 安い変動金利で借りている ー低金利が続く限り固定金利で借りるより金利の支払いが安いというメリットがあるのですが
  • 満室に近い入居状況がずっと続くものと鵜呑みにして収支計画を立てて購入した
  • 購入時の家賃を据え置きあるいはわずかならが上昇させて収支計画を立てて購入した
  • 修繕費を適正に見積もらない収支計画を立てて購入した
  • 税金をきっちり考慮せず収支計画を立てて購入した
  • 物件のある周辺環境の変化の予測を行わず購入した
  • とにかく楽はしたいが、物件の管理や入居者へのサービスには興味がない
  • 購入金額が安いのか高いのか実は自分では判断に自信がなかったが購入した

サラリーマン大家に必要な能力とは

つまり、物件の立地・価値を判断する能力、収支計画を立てる能力、物件を運営する能力、入居者を含め物件周りの関係者の顧客満足を得る能力、これらの能力に加え不動産運営に対する情熱がないと、失敗する確率が非常に高いと言えます。つまり、不動産投資ということは、不動産事業を回すことと同義なのです。

不動産投資に興味のある方は、巷に溢れるその人限りの成功本(金融経済環境などのタイミングでたまたま成功した、非常にアグレッシブで熱心でサラリーマン以上の能力があるから成功した、など)に惑わされることなく、冷静に考えた上で判断されることをお勧めします。

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